研究課題/領域番号 |
21K06229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
國枝 正 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (90566077)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 内膜系オルガネラ / 膜交通 / 細胞壁 / ペクチン / ユビキチンE3リガーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
植物細胞は細胞膜外に細胞壁を形成することで細胞自身、ひいては植物個体の形態を制御している。細胞壁を構成する成分の多くは細胞内で合成され、内膜系オルガネラを介した膜交通経路によって細胞膜外へと輸送される。内膜系オルガネラ間の輸送には膜融合や分離を伴うが、それらの内膜系オルガネラ形態への作用はよく分かっていない。本研究では、細胞壁構成成分の分泌輸送に着目して、内膜系オルガネラの形態形成の分子メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
植物細胞は細胞膜外に細胞壁を形成することで個々の細胞、ひいては個体全体の形態を制御している。細胞内で合成された細胞壁の構成成分の多くは、内膜系オルガネラによる膜交通によって細胞膜外へと輸送される。内膜系オルガネラ間の輸送には膜融合や分離を伴うことから、それらが内膜系オルガネラの形態に作用すると考えられる。本研究では、細胞壁構成成分の分泌輸送に着目して、内膜系オルガネラの形態形成における分子制御メカニズムの解明を目的とする。 本年度は、本研究の核因子であるユビキチンE3リガーゼがユビキチン化標的とする基質タンパク質の探索を行った。蛍光タンパク質を融合させた当該E3リガーゼを発現するシロイヌナズナの幼植物体を対象にして免疫沈降-質量分析を行ったところ、ゴルジ装置や後期エンドソームを含む内膜系オルガネラ関連因子が多く同定された。この結果は当該E3リガーゼの細胞内局在をよく反映しており、かつ、同定された因子の中には細胞壁形成やゴルジ装置の形態制御に関与することをすでに報告されているものが含まれていた。したがって、当該E3リガーゼはそれら因子の代謝制御によって、内膜系オルガネラの形態を制御している可能性がある。一方、当該E3リガーゼのドメイン変異型を過剰発現させた細胞では、細胞伸長異常と細胞肥大を引き起こすことを見い出した。当該E3リガーゼの遺伝子欠損変異体では細胞壁ペクチンの異常を示すことから、ドメイン変異型過剰発現体での細胞形状異常は細胞壁の形成異常に起因するものと予想される。これらの可能性を検証するための解析を現在進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画での要となる当該ユビキチンE3リガーゼのユビキチン化標的タンパク質の探索において、免疫沈降-質量分析実験によって候補因子を複数同定できており、それらの機能解析を進めている段階にあるため。
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今後の研究の推進方策 |
免疫沈降-質量分析実験によって同定した複数の当該ユビキチンE3リガーゼとの相互作用候補因子について、変異体などを利用しながら細胞壁形成や内膜系オルガネラ形態への関与を検証するための機能解析を進める。また、当該E3リガーゼ自身のin vivoでの分解が予想以上に速いことが本年度の解析から新たに明らかになった。そのため、標的タンパク質との物理的相互作用の検証は、当初計画していたタンパク質配列全長を対象にしたものに限定せず、タンパク質立体構造などの情報を基に絞り込んだ部分長領域などを用いることも検討しつつ実施する。
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