研究課題/領域番号 |
21K06235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
西谷 和彦 神奈川大学, 理学部, 教授 (60164555)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アメリカネナシカズラ / 寄生植物 / 吸器形成 / 光質 / Cuscuta / 光刺激 / 赤色光 / 成長段階 / 赤色光/遠赤色光比 / ネナシカズラ / 吸器 / 寄生 / 細胞壁 |
研究開始時の研究の概要 |
アメリカネナシカズラが宿主に巻きつき吸器を新生しながら、道管を分化させ、宿主道管に連結して寄生を確立する分子メカニズムはほとんど未解明である。我々は、この寄生過程で、宿主由来の何らかの因子が関与することを見出してきた。本研究では、この知見を基にして、宿主由来の未知の信号(宿主因子)の同定とそれを認識するアメリカネナシカズラの分子過程の解明を目指す。そのために、時空間計測による寄生行動の解析と、吸器形成および道管連結過程のX線CTなどによるイメージング法の確立を目指し、これらの手法で、形質転換体および変異体を用いた原因遺伝子の探索を進める。
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研究実績の概要 |
茎寄生植物であるアメリカネナシカズラは、群落内の土壌表面で発芽すると、茎のみを伸ばし、回旋転頭運動により宿主の茎に巻きつき、接着面に吸器という寄生器官を発生させて寄生する。寄生成立後、寄生部位から茎伸長を再開して、群落の上部に登って次々と他の宿主個体に寄生し、繁殖する。芽生えによる最初の寄生(一次寄生)は、群落の下の赤色/遠赤色光比(R/FR比)の低い光環境下で起こるのに対して、寄生後に伸長した茎による寄生(二次寄生)は、群落上部のR/FR比の高い光環境下で起こる。 昨年度までの研究で、発芽直後の芽生えの寄生は、青色光と赤色光により促進され、赤色光で阻害されるのに対して、寄生後に伸長した成熟茎では、赤色光においても寄生が起こることを明らかにした。この結果は、群落底部のR/FR比の低い光環境下で進む芽生えによる寄生は赤色光により阻害されるのに対して、R/FR比の高い群落上部のキャノピーで進行する成熟茎による寄生は赤色光により阻害されにくいことを示している。 今年度は、光環境により制御される吸器形成の分子メカニズムを明らかにするために、芽生えと成熟個体それぞれより茎頂を含む2cmの茎切片を切り出し、in vitro吸器誘導系を用いて、異なる光環境下に4時間置いて寄生誘導を行った。 その後、各光照射区の組織について遺伝子発現をRNA-seqにより解析し、吸器形成が始まる前に変動する一群の遺伝子種を特定した。その中には、光応答および植物ホルモン応答に関わる遺伝子種が多く見られた。引き続き、これらの遺伝子種の発現パターンの詳細と機能を解析しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカネナシカズラの寄生過程での光応答に関する新しい現象を見出し、その分子メカニズムの解明のためのRNAseq解析を進めた。その結果、寄生誘導の過程での光応答に関わる遺伝子群の特定が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を踏まえ、アメリカネナシカズラの吸器形成の制御に関わる分子過程の解剖を遺伝子機能の視点から進める。
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