研究課題/領域番号 |
21K06236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
笠原 賢洋 立命館大学, 生命科学部, 教授 (70361748)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 植物cAMPシグナル伝達機構 / cAMP / cAMP合成酵素 / cAMP分解酵素 / CAPE / cAMPエフェクター / cAMP結合タンパク質 / 植物cAMP |
研究開始時の研究の概要 |
様々な生物のシグナル伝達系においてサイクリックAMP(cAMP)がセカンドメッセンジャーとして機能しており、動物を中心に詳細な分子機構が解明されている。植物においては、精子を用いて有性生殖を行う緑色植物に保存されている新奇のcAMP合成・分解酵素 (CAPE)の解析によって、cAMPが精子の運動調節に働いていることを明らかにした。本研究では、ゼニゴケゲノム情報を利用し、CAPEの下流で働くcAMP標的タンパク質の解析を行う。精子運動調節における初期過程因子を同定し、cAMPシグナル伝達系の分子機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
cAMPは代表的な細胞内シグナル分子であり、様々な生物において生理的役割が明らかにされている。本研究は、植物から発見したcAMP合成・分解酵素(CAPE)を起点とする精子べん毛運動調節機構に着目し、ゼニゴケのゲノム情報と遺伝子組換え技術を利用して植物cAMPシグナル伝達の分子機構を明らかにすることを目指すものである。本年度は、cAMP結合ドメインを有する新奇タンパク質 (cyclic nucleotide receptor with multi-CNBDs: CRMC)を解析するにあたり、オフターゲットの可能性を排除するために、昨年度得られたゲノム編集株とは異なるgRNAによるゲノム編集株の取得を試みた。新たに2箇所にgRNAを設計し(gRNA3、gRNA4)、Cas9によるゲノム編集を行ったところ、gRNA4によってゼニゴケ雄株、雌株でゲノム編集株を得られた。今後、得られたゲノム編集株で表現型解析をすすめていく。また、前年度に試みた2種のgRNA(gRNA1、gRNA2)においても、gRNA2のみで編集が起きたことから、gRNAの位置の選択がゲノム編集の効率に極めて重要であることが明らかとなった。編集株取得のスピードアップのために、編集効率に違いをもたらす具体的な要因の解明が待たれる。CRMCに加え、本年度は、cAMP結合ドメインを有するタンパク質として、cAMP依存性タンパク質リン酸化酵素調節サブユニット(PKA-R)の変異株精子の運動性を解析した。ゼニゴケは2コピーのPKA-R遺伝子を持ち、二重変異株精子において、cape変異株精子と同様に精子遊泳が異常になった。このことから、CAPEとPKAがシグナリングモジュールとして精子遊泳を調節している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たなcrmc遺伝子変異株を得られるなど、着実に研究が前進しており、残り期間において研究の発展が見込まれるため。
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今後の研究の推進方策 |
ゲノム編集株の取得が非常に困難であったが、取得に成功したため、表現型を集中的に解析する。並行して行っていたCRMCプロモーターGUS株とGFP-CRMC発現株の構築が進んだため、これらを用いて、組織レベルのCRMC発現部位の解析、細胞内局在(特に、精子において)を調べ、CRMCをキャラクタリゼーションする。PKAについてもさらに解析し、植物cAMPシグナル伝達の分子機構の解明を目指す。
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