研究課題/領域番号 |
21K06237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大和 勝幸 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (50293915)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | コケ植物 / 精子 / 走化性 / 鞭毛 / カルシウムイオン / チャネル / ポンプ / ゼニゴケ / カルシウム / 精子走化性 / 輸送体 / イオンチャネル / 精子誘引 / Ca2+ |
研究開始時の研究の概要 |
精子は、卵あるいはその近傍の細胞が放出する精子誘引物質の濃度勾配を頼りに卵に到達する。この精子走化性のしくみを理解するため、これまで動物を用いた研究が進められてきた。しかし、精子走化性の分子レベルでの詳細な研究は一部のモデル生物に限られている。そのため、精子走化性に対する我々の理解は生物種間の共通性・多様性という観点からは限定的である。 本研究ではコケ植物ゼニゴケを精子走化性研究の新たな実験プラットフォームとして活用し、精子Ca2+チャネルおよびトランスポーターに着目して精子走化性の分子基盤の理解を深めることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究ではゼニゴケをモデルとして、植物における精子走化性の理解を目指している。これまでの研究でゼニゴケの精子走化性においてCa2+の関与が強く示唆されているため、電位依存性Ca2+チャネルのホモログMpVICSPER1遺伝子、Ca2+ポンプのホモログMpPMCA遺伝子およびCa2+結合ドメインであるEF-Handを有するMpCAPS遺伝子(構造上の特徴からMpCAFAと改称)について解析した。 MpVICSPER1の動物細胞での発現・解析は現在も進行中である。また、蛍光タンパク質融合コンストラクトを作成・導入したが、細胞内局在を特定するには至っていない。 MpPMCAについてはゲノム編集による機能欠損株を作成した。機能欠損変異体において葉状体および生殖器、精子の形態に明らかな異常は認められなかった。しかし、変異体精子の遊泳速度・直線性は低下し、造卵器への明確な誘引も観察されなかった。しかし、野生株より少ない傾向が観察されたものの、変異体精子により胞子のうが形成された。蛍光タンパク質mCitrineをN末端に融合したMpPMCAを機能欠損変異体にて発現させると、精子の遊泳速度・直線性が回復した。この機能的相補株精子において、mCitrineは2本ある鞭毛のうちの1本のみに局在していた。 MpCAFAについても同様の解析を行ったところ、変異体精子の遊泳速度・直線性が低下していた。しかし、造卵器への誘引を示し、受精によって胞子も形成された。mCitrineをC末端に融合したMpCAFAを機能欠損変異体にて発現させると、精子の遊泳速度・直線性が回復した。この機能的相補株精子において、mCitrineは2本の鞭毛の全長に渡って検出された。 以上の結果より、MpCAFAおよびMpPMCAは精子の正常な遊泳に必要とされるものの、精子走化性および受精には必須ではないことが示された。
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