研究課題/領域番号 |
21K06238
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
|
研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
椎名 隆 摂南大学, 農学部, 教授 (10206039)
|
研究分担者 |
菅 裕 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (30734107)
石崎 陽子 摂南大学, 農学部, 助手 (50423869)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 葉緑体 / シグマ因子 / ストレス応答 / 転写制御 / Ca2+シグナリング / ストレス / 光合成 / 反応中心 / 転写 |
研究開始時の研究の概要 |
葉緑体は独自のゲノム(葉緑体ゲノム)をもち、主要な光合成タンパク質の遺伝子をコードしている。ストレスシグマ因子Sig5は、ストレス下での核と葉緑体のクロストークに関わる重要な因子で、ストレスシグナルを葉緑体へ伝達しpsbD LRPなど特定のプロモーターの選択的活性化に関わっている。本研究では、Sig5を介した葉緑体転写制御の分子機構解析するとともに、光合成のストレス適応におけるSig5の役割や進化についても研究を進める
|
研究実績の概要 |
葉緑体ゲノムにコードされた光合成遺伝子群は、バクテリア型RNAポリメラーゼのPEPによって転写される。その転写には核コードのシグマ因子が必要で、光合成遺伝子群の転写にはSIG2とSIG6が重要な働きをしている。一方、SIG5は、その発現がストレスやABAによって誘導されるユニークなシグマ因子である。これまでに、光化学系反応中心のD2タンパク質をコードするpsbD遺伝子上流に存在する光応答プロモーター(psbD LRP)の活性化にSIG5が特異的に関わることがわかっている。しかし、その詳細な制御機構はよくわかっていない。本研究では、ABAと明暗変化に対するSIG5とpsbD LRPの応答を詳細に解析した。 まず、ABAに対するシグマ因子群やPEP依存光合成遺伝子群の発現を詳細に解析した。その結果、ABAによってSIG2やSIG6などの主要シグマ因子の発現が抑制され、光合成遺伝子群の発現も低下することを見出した。一方、SIG5の発現はABAによって活性化され、そのターゲットであるpsbD LRPの活性はABAによって低下しないことがわかった。このことは、ABAによるSIG5発現の活性化が、ストレス化でのpsbD遺伝子の発現レベルの維持に関わる可能性を示唆している。 一方、植物を暗所に移すと、psbD LRPの発現活性が特異的かつ急速に低下する。この現象は、葉緑体のCa2+依存的ppGpp合成酵素CRSHによって制御されている可能性が示されている。本研究では、明暗による葉緑体Ca2+制御に葉緑体包膜の機械受容チャネルMSL2が関わる可能性を検証した。その結果、暗所におけるpsbD LRPの特異的活性低下にMSL2を介した葉緑体Ca2+濃度の変化が関係している可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究から、SIG5のターゲットとなるpsbD LRPの活性制御と葉緑体Ca2+濃度制御の関係を明らかにする新しい方向性を示すことができた。一方、当初の目的であるpsbD LRP活性化に関わるDNA結合因子の同定の研究が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究で明らかになった、SIG5のターゲットとなるpsbD LRPの活性制御と葉緑体Ca2+濃度制御の関係については、葉緑体Ca2+濃度の明暗応答に関わる可能性があるMSL2の解析を進め、psbD LRP活性化との関係を明らかにする。また、psbD LRP活性化に関わるDNA結合因子の同定についても、引き続き取り組む。
|