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トランスポゾンの転移酵素によるエピゲノムと遺伝子発現の制御

研究課題

研究課題/領域番号 21K06239
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分44030:植物分子および生理科学関連
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

星野 敦  基礎生物学研究所, 分野横断研究ユニット, 助教 (80312205)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワードトランスポゾン / エピジェネティクス / 植物 / アサガオ / 転移酵素 / DNAメチル化
研究開始時の研究の概要

エピジェネティックな変異(エピ変異)は遺伝子発現を制御することがあり、多様性の獲得と進化に寄与するとされる。植物ではエピ変異の多くをトランスポゾンが誘発しており、その転移酵素もエピ変異の形成に関わるとされてきた。これまでに、アサガオの機能的な転移酵素を発現するトランスポゾン(TpnA2)と、トランスポゾンが挿入したことで生じた可塑的なエピ変異に制御される花色遺伝子を発見した。本研究では、新しいDNAメチル化の解析方法も駆使することで、転移酵素が遺伝子発現を制御したり、エピ変異を形成したりすることを明らかにしてエピ変異の理解に貢献する。

研究実績の概要

本研究の目的は、トランスポゾンによるエピジェネティックな変異(エピ変異)の形成並びに遺伝子発現制御の関連を明らかにすることである。アサガオの刷毛目絞り変異体は、薄色地に濃色のストライプ模様の花を咲かせる。また、ストライプのない薄色、あるいは濃色の花だけを咲かせるエピ変異体を分離する。刷毛目絞り変異は花色遺伝子へのTpn1ファミリーのトランスポゾンであるTpn10の挿入であり、Tpn10の転移を伴わないエピ変異が花色変化を引き起こす。Tpn10は非自律性のトランスポゾンであり、TpnA1とTpnA2がTpn10に転移酵素を供給することが示唆されている。
令和5年度は転移酵素の発現がエピ変異に与える影響を調べるために、刷毛目絞り変異体でのTpnA2の転移酵素遺伝子の過剰発現体を作成した。令和4年度までの結果から、標準系統と変異体ではTpnA2の転移酵素のアミノ酸配列に違いがあることを見出しており、刷毛目絞り変異体より転移酵素遺伝子のcDNAをクローニングして発現ベクターを構築した。薄色花と濃色花だけを咲かせるエピ変異体の両方を宿主として形質転換を行った。その結果、それぞれから複数個体の形質転換体を得た。また、一部の形質転換体では花色が変化しており、転移酵素遺伝子の発現との関連を検討している。
一方、令和5年度までに取得した刷毛目絞り変異座とTpnA2の領域をターゲットシークエンスしたロングリードの配列を解析したが、リード数が不十分なためDNAメチル化の解析には至らなかった。そこで、ショートリードのNGSでTpnA2の転移酵素遺伝子のプロモーター配列の解析も行うため、転移酵素遺伝子の転写開始点を探索してプロモーター領域の特定を試みた。その結果、これまで推定されていた領域よりも上流に転写開始点が存在することを見出し、プロモーター領域を新たに推定することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

刷毛目絞り変異体の高精度な全ゲノム配列を解読し、エピ変異体についても全ゲノム配列をリシーケンスしてゲノム中に300コピー程度あるトランスポゾンの網羅的な解析が進んだ。さらに、転移酵素遺伝子の過剰発現体が得られ、花色の表現型の変化もみられている。一方、トランスポゾンのDNAメチル化の解析については反復配列であることに起因する課題が残されている。

今後の研究の推進方策

転移酵素遺伝子の過剰発現体については、導入遺伝子の発現を調べて表現型との相関を明らかにする。また、トランスポゾンや花色遺伝子のDNAメチル化を調べ、転移酵素の過剰発現が与える影響や、近傍遺伝子の発現抑制やエピ変異との関連を明らかにする。また、刷毛目絞り変異体とエピ変異体から得られているゲノム配列を解析することで、転移酵素を供給するトランスポゾンについても検討する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (32件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (28件)

  • [雑誌論文] Genome and transcriptome analyses reveal genes involved in the formation of fine ridges on petal epidermal cells in Hibiscus trionum2023

    • 著者名/発表者名
      Koshimizu Shizuka、Masuda Sachiko、Shibata Arisa、Ishii Takayoshi、Shirasu Ken、Hoshino Atsushi、Arita Masanori
    • 雑誌名

      DNA Research

      巻: 30 号: 5

    • DOI

      10.1093/dnares/dsad019

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genome-Wide Analysis of Aquaporins in Japanese Morning Glory (Ipomoea nil)2023

    • 著者名/発表者名
      Inden Tamami、Hoshino Atsushi、Otagaki Shungo、Matsumoto Shogo、Shiratake Katsuhiro
    • 雑誌名

      Plants

      巻: 12 号: 7 ページ: 1511-1511

    • DOI

      10.3390/plants12071511

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Genome-wide analysis of R2R3-MYB transcription factors in Japanese morning glory2022

    • 著者名/発表者名
      Komatsuzaki Ayane、Hoshino Atsushi、Otagaki Shungo、Matsumoto Shogo、Shiratake Katsuhiro
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 17 号: 10 ページ: e0271012-e0271012

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0271012

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effectiveness of Create ML in microscopy image classifications: a simple and inexpensive deep learning pipeline for non-data scientists2021

    • 著者名/発表者名
      Nagaki Kiyotaka、Furuta Tomoyuki、Yamaji Naoki、Kuniyoshi Daichi、Ishihara Megumi、Kishima Yuji、Murata Minoru、Hoshino Atsushi、Takatsuka Hirotomo
    • 雑誌名

      Chromosome Research

      巻: 29 号: 3-4 ページ: 361-371

    • DOI

      10.1007/s10577-021-09676-z

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] アサガオが温帯アジアに分布するのに必要だったと推定されるInCOのフレームシフト変異2024

    • 著者名/発表者名
      勝山弘章, 江面恭祐, 星野敦, 仁田坂英二, 久保山勉
    • 学会等名
      第145回日本育種学会講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 概日時計と開花を結びつけてアサガオを朝に咲かせる遺伝子の探索2024

    • 著者名/発表者名
      中川颯也, 西出浩世, 田中幸子, 星野敦
    • 学会等名
      第44回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオを朝に咲かせるために概日時計と開花を結びつける遺伝子の探索2023

    • 著者名/発表者名
      中川颯也, 西出浩世, 田中幸子, 星野敦
    • 学会等名
      日本遺伝学会第95回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 花弁が屈曲するアサガオ変異体「台咲(だいざき)」の原因遺伝子の同定と機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      山田康志, 星野敦, 仁田坂英二, 武田征士
    • 学会等名
      第40回日本植物バイオテクノロジー 学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオを朝に咲かせるために働く遺伝子の探索2023

    • 著者名/発表者名
      中川颯也, 西出浩世, 田中幸子, 星野敦
    • 学会等名
      第30回日本時間生物学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] γ線照射により作出されたアサガオ新規白花突然変異体2023

    • 著者名/発表者名
      荷見円, 岡野凌平, 勝山弘章, 高橋悠愛佳, 水野貴行, 星野敦, 仁田坂英二, 久保山勉
    • 学会等名
      第143回日本育種学会講演
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] NBRPアサガオの変異体リソースのゲノム情報整備2023

    • 著者名/発表者名
      星野敦, 白澤健太, 山田哲也, 豊田敦, 仁田坂英二
    • 学会等名
      第43回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本のアサガオ系統におけるTpnトランスポゾンの転移活性化2022

    • 著者名/発表者名
      水成友紀, 星野敦, 白澤健太, 山田哲也, 仁田坂英二
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオの形質転換系を利用したトルコギキョウのF3´5´H遺伝子の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      元山ちひろ, 清水圭一, 大島寛史, 平岡直也, 前田奈菜, フィントンフク, 宝泉孝輔, 星野敦, 米沢徹, 前島理奈, 橋本文雄
    • 学会等名
      植物色素研究会第32回集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] γ線照射によって得られたアサガオ新規白花変異体2022

    • 著者名/発表者名
      山村龍, 岡野凌平, 勝山弘章, 高橋悠愛佳, 水野貴行, 星野敦, 仁田坂英二, 久保山勉
    • 学会等名
      第142回日本育種学会講演会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオにおいてD機能を担うMADS-box遺伝子PEONYは心皮の融合に機能する2022

    • 著者名/発表者名
      越水静, 星野敦
    • 学会等名
      植物学会第86回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオの覆輪に関わる重複変異とRNAサイレンシング2022

    • 著者名/発表者名
      中川颯也, 朴慶一, 森田裕将, 飯田滋, 星野敦
    • 学会等名
      日本遺伝学会第94回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオにおけるアクアポリンのゲノムワイド解析2022

    • 著者名/発表者名
      位田瑞実, 星野敦, 太田垣駿吾, 松本省吾, 白武勝裕
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 高品質ロングリード技術を利用したアサガオ系統の全ゲノム解読2022

    • 著者名/発表者名
      白澤健太, 星野敦, 仁田坂英二
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 大規模リシーケンスによるアサガオの遺伝子変異の解析I2022

    • 著者名/発表者名
      星野敦, 仁田坂英二, 白澤健太, 山田哲也
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 大規模リシーケンスによるアサガオの遺伝子変異の解析II2022

    • 著者名/発表者名
      仁田坂英二, 星野敦, 白澤健太, 山田哲也
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオの主要な変異原Tpnファミリーの転移および転移の抑制機構2022

    • 著者名/発表者名
      水成友紀, 星野敦, 白澤健太, 山田哲也, 仁田坂英二
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオの側方裂片形成・分裂組織の制御に関わる孔雀(PEAR)遺伝子の解析2022

    • 著者名/発表者名
      勝矢翔真, 星野敦, 白澤健太, 仁田坂英二
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオの体軸形成に関与する乱菊(PY)遺伝子の解析2022

    • 著者名/発表者名
      光永大晟, 宮尾崇矩, 星野敦, 白澤健太, 仁田坂英二
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオにおいてD機能を担うMADS-box遺伝子PEONYは心皮の融合に機能する2022

    • 著者名/発表者名
      越水静, 星野敦
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] γ線照射により誘発された2つのアサガオ新規白花変異体における遺伝解析2022

    • 著者名/発表者名
      勝山弘章, 岡野凌平, 高橋悠愛佳, 仁田坂英二, 星野敦, 久保山勉
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] マルバアサガオ新規ivory seed (ivs)易変性変異の同定と解析2022

    • 著者名/発表者名
      森田裕将, 北村崇馬, 渡辺大起, 飯田滋, 星野敦
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオ花弁における時系列トランスクリプトームのデータベース化2022

    • 著者名/発表者名
      中川颯也, 星野敦
    • 学会等名
      第11回アサガオ研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオ:ゲノム情報でキラリと光りはじめた日本独自のバイオリソース2022

    • 著者名/発表者名
      星野敦、白澤健太、仁田坂英二
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオの花弁周縁部に特異的な三重化した遺伝子のRNAサイレンシング2022

    • 著者名/発表者名
      中川颯也、朴慶一、森田裕将、飯田滋、星野敦
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオの主要な変異原Tpnトランスポゾンの転移及び転移抑制機構2021

    • 著者名/発表者名
      水成友紀、白澤健太、星野敦、仁田坂英二
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] リシーケンスによるアサガオ100系統の多型と遺伝子変異の解析2021

    • 著者名/発表者名
      星野敦、白澤健太、仁田坂英二
    • 学会等名
      日本遺伝学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] アサガオにおける安定化自律性因子が制御するTpnトランスポゾンの転移2021

    • 著者名/発表者名
      水成友紀、白澤健太、星野敦、仁田坂英二
    • 学会等名
      日本遺伝学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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