研究課題/領域番号 |
21K06252
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
広瀬 裕一 琉球大学, 理学部, 教授 (30241772)
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研究分担者 |
酒井 大輔 北見工業大学, 工学部, 准教授 (10534232)
上杉 薫 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (20737027)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ナノ構造 / 水棲生物 / 表面物性 / バイオミメティクス / 生物汚損 |
研究開始時の研究の概要 |
生物体表のナノ構造の水中における機能はあまり検証されていない。本研究では、水棲無脊椎動物に認められるナノ構造を模倣した合成材料を利用し、水中における接着力、摩擦力を原子間力顕微鏡や二軸センサで計測する。構造表面と平滑表面の比較から、ナノ構造によって生物体表にゴミがくっつきにくくなっている(防汚性)可能性を検証する。多様な無脊椎動物を対象に機能的な体表構造の探索を進め、模倣材料作製と物性計測にフィードバックする。本研究から、水中で有用な多機能性表面の提案に展開できることも期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は生物体表のナノ構造の水中における機能を検証することを目的としており、水棲無脊椎動物に認められるナノ構造を模倣した合成材料を利用して、水中における表面物性の実測を通して、ナノ構造の機能性を明らかにするものである。空気中ではナノ構造表面の接着力が平滑面よりも小さいことから、昆虫体表に見られるナノスケールのニップルアレイ構造には防汚機能があると推定されている。水棲生物の体表からもニップルアレイ構造は知られているが、水中での接着力は空気中よりも小さいため、同様な機能があるかどうか検証されていなかった。 本研究ではナノスケールのニップルアレイ構造を持つ合成材料モスマイトを用いて、水中におけるナノ構造表面の吸着力・接着力の計測を行い、水中においてもナノ構造表面の吸着力・接着力はともに平滑面よりも有意に小さいことを明らかにした。従って、体表にナノ構造を持つ生物では、泥の粒子など微小なゴミの付着が低減されていると考えられる。これについては論文発表(2021年度)を行い、2022年度には国際学会での発表と国内学界での招待講演を行なっている。 2022年度はナノ構造表面上の摩擦力計測を目的として、2軸力センサを用いた計測装置の開発を進めた。当初、シリコーンゴム球をプローブとした計測装置を試作し、これをもとに機械的ノイズを低減する改良を繰り返し、現在のセラミック球をプローブとした改良型計測装置に至っている。本装置を用いて、周期構造(後述)を材料に予備的な計測に成功しており、周期サイズやプローブサイズによって摩擦力が異なることがわかってきた。 また水棲生物体表のナノ構造の模倣材料としてナノスケールの褶曲の周期構造を作成し、摩擦力計測への利用をはじめた。さらに同材料をバイオアッセイに利用する準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度目的であった、2軸力センサーを用いた摩擦力の計測装置を開発し、さらに周期構造を材料とした予備的な計測に成功している。表面ナノ構造(周期サイズ)やプローブサイズによって摩擦力が異なることがわかってきた。また、吸着力・接着力の計測で明らかとなった「水中における防汚機能」について、国際学会や国内の招待講演で発表している。 昨年度に成功したナノスケールの周期構造作製技術をもとに、計測用・バイオアッセイ用に周期構造の作製を進めた。すでに摩擦力計測の試験材料として利用できている。バイオアッセイについては、アッセイ系において生物毒性の問題が確認されたが、構造の固定に用いた接着剤が問題であることが特定できたので、代替の接着方法を用いることで対応できることになった。 新たな機能構造の探索として、ウミウシを材料とした微細構造観察を目的に採集を進めている。砂粒子の付着に注目して材料を選定し、一部の種については固定標本の作成を行なった。 以上より、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ナノ構造表面の水中摩擦力を今回開発の2軸力センサーを用いた計測装置を利用して実施する。当面の材料として、モスマイトおよび周期構造を予定し、特にナノ構造のサイズとプローブのサイズによる摩擦力への影響から、摩擦力低減に適した構造のサイズや水棲生物における機能を検討する。さらに、生物材料を対象とした実測にも対応できるよう計測器の改良を検討したい。 周期構造を材料に生物付着への効果を検証する目的で、ホヤ幼生を用いた基質選択アッセイを行う。予備実験の段階で生物毒性の問題が確認されたが、問題点の特定と対応については完了している。 新たな機能構造の探索として、ウミウシで体表に砂を付着させる種と付着させない種の構造比較を行う。一部の種については試料の固定を完了している。
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