研究課題/領域番号 |
21K06253
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
上条 桂樹 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (10252074)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細胞質分裂 / アクチン / ミオシン / 収縮環 / 超解像顕微鏡 / Rho |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳動物細胞の収縮環の構造および形成機構をナノスケールレベルで明らかにする.このため,以下のような研究を行う. ① 収縮環の構造の解明:解像限界からよくわかっていないアクチンとミオシンIIのフィラメントの向きや配列を超解像顕微鏡観察で明らかにし,収縮環の構造を解明する. ② 収縮環形成過程をライブイメージングで解明する:高速で画像取得が可能な超解像スピニングディスク顕微鏡を用いて,細胞質分裂の超解像ライブイメージング法を確立し,これにより収縮環形成過程を明らかにする. ③ 収縮環形成の分子機構:Rhoシグナル分子を標的としたRNAiやゲノム編集,阻害剤処理を行い収縮環形成の分子機構を明らかにする.
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研究実績の概要 |
動物細胞の細胞質分裂は,収縮環の収縮によって細胞がくびれることで進行する,収縮環は,分離した染色体間の細胞表層である赤道面にアクチンとミオシンIIのフィラメントが集積して形成される.分裂後期の開始とともに短時間で収縮環は形成されるが,詳しい構造や形成機構は明らかになっていない. 収縮環を形成するアクチンフィラメントとミオシンIIの赤道面への集積は,既存のフィラメントが収縮環に動員されるか,新規に赤道面の細胞表層で形成されるかのいずれかだが,その動態は明らかになっていない.そこで,Lifeact-mCherryとミオシン調節軽鎖-EGFPを恒常発現するLLC-PK1細胞を超解像スピニングディスク顕微鏡(オリンパスSpinSR10)でライブイメージング観察を行った.間期に細胞表層やストレスファイバーにみられたアクチンフィラメントは,分裂前期にほとんど消失した.分裂後期が開始するとすぐに,赤道面の細胞表層に,アクチンフィラメントおよびミオシンIIの集積がみられた.ライブイメージング画像をカイモグラフで解析したところ,既存のフィラメントの赤道面への移動は認められないにもかかわらず,アクチンフィラメントとミオシンIIが赤道面に出現した.この結果から,収縮環を形成するアクチンフィラメントとミオシンIIは,既存のフィラメントが動員されるのではなく,新規に赤道面で形成されることが明らかになった. これまでの研究と合わせて考えると,赤道面でRhoA-mDia2/DIAPH3の局在するスポットからアクチンフィラメントが放射状に伸長し,赤道面で新たに形成されたミオシンIIがアクチンフィラメントを架橋して収縮することにより,赤道面に平行なアクチンフィラメントとミオシンIIでできた収縮環が形成されると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スピニングディスク超解像顕微鏡では488nmと560nm励起により,ミオシンII軽鎖,重鎖を染色することでミオシンIIをbipolarフィラメントとして観察できる.ミオシンII軽鎖・重鎖とアクチンフィラメントを,それぞれ488nm,560nm,640nm励起で3重染色を行うことで,ミオシンIIとアクチンフィラメントの収縮環での配列を明らかにできる.しかし,3チャンネルめの640nmは波長が長いため,超解像画像としては十分な解像度が得られていない.蛍光強度を上げることで,一定程度の改善がみられることから,細胞の調整法,染色法やレーザー光の強度などを検討し,より,解像度の高い画像取得を行い,収縮環の構造の解明を目指す.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,固定標本およびライブイメージングで超解像観察を行い,収縮環の構造および形成機構を明らかにする.固定標本,ライブイメージングともシグナル強度が足りず,解像度が十分得られていない場合があるため,染色方法,蛍光タンパク質の検討,画像取得方法の改良などで,より解像度の高い画像取得を目指す.さらに,これまでに取得した固定標本およびライブイメージング画像の解析を進め,収縮環の構造および形成機構のモデルを確立する.
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