研究課題/領域番号 |
21K06264
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
碓井 理夫 京都大学, 生命科学研究科, 講師 (10324708)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 捕食回避行動 / 感覚ゲーティング / 疼痛緩和療法 / カルシウムイメージング / ショウジョウバエ / 神経ペプチド / 侵害逃避行動 / 環境依存性 / 寄生蜂 / 細胞内発火抑制 / カルシウム依存性カルシウム放出 / 複数感覚情報の統合 / 環境ストレス応答 |
研究開始時の研究の概要 |
動物が天敵の襲撃を臨機応変に回避することは、個体の生存に直結する重要な本能行動である。申請者は、こうした逃避行動を調節する遺伝的・環境依存的な調節機構を明らかにするため、ショウジョウバエ野生型系統群を用いたゲノムワイド関連解析を実施し、これまでにGPIアンカー型タンパク質をコードする遺伝子 belly roll (bero) が逃避行動の迅速性を調節することを発見した。本研究では、bero 発現ニューロンによる環境依存的な行動調節機構と、Bero タンパク質の分子機能とを追究する。得られる知見は、生物の本能行動の環境調節機構に対する理解を深めることが期待される。
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研究成果の概要 |
Beroタンパク質がABLKニューロンの自発的かつ持続的な神経活動(カルシウム振動)の形成に必須であることを見出すとともに、このCa2+振動がABLKニューロンの侵害覚応答に拮抗的に作用することを発見した。これは、侵害覚入力以外の感覚入力が侵害覚入力と統合されていることを強く示唆するものであった。この成果は、国際学術誌eLifeに論文発表した(Li et al., 2023)。ABLKニューロンに発現する神経ペプチド受容体がBeroと機能的に相互作用することを発見した。さらに、さまざまな環境ストレスに応じてABLKニューロンの神経活動が変動することを発見しており、現在も検証をすすめている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題で得られた成果は、動物の生存戦略の「かなめ」である捕食者からの回避行動について、これまで知られていなかった神経調節メカニズムを明らかにしたことである。従来は、捕食回避行動は定型的であり、調節される余地はあまりないと考えられてきた。しかし、本研究により、自然に存在する遺伝的な因子(bero遺伝子の多型)により捕食回避行動の迅速性が多様化していることが明らかになった。これに加えて、調節神経回路の動態が、さまざまな環境要因によっても変動することがわかってきた。回避行動は痛覚により起動されるため、本研究課題の成果は、ヒトの疼痛緩和療法を改善するための有用な情報を与えると期待できる。
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