研究課題/領域番号 |
21K06267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
富岡 憲治 岡山大学, 環境生命自然科学研究科, 特命教授 (30136163)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 概日時計 / 視葉 / 複眼 / 時計間相互作用 / 自由継続周期 / 周期の安定性 / コオロギ / 中枢時計 / 末梢時計 / 昆虫 |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫は行動を始めとして、複眼の光感度、生殖腺機能など各種生理機能に日周期に同調した24時間のリズムを持つ。これらのリズムは、脳内にある中枢時計と各末梢器官にある末梢時計からなる複数振動体系により制御されている。この複数振動体系は一般に、中枢時計が末梢時計を制御する階層構造を成すと考えられているが、末梢時計から中枢時計への作用も含めて、その実態は未解明である。本研究は、コオロギ複眼時計(末梢時計)と視葉時計(中枢時計)を対象として、末梢時計から中枢時計への作用を含め、時計間の相互作用の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
コオロギの複眼時計-視葉時計系を対象として、中枢時計と抹消時計の相互作用を検討した。視神経の切断により、30℃、恒暗下で視葉時計が駆動する歩行活動リズムの周期(τ)が有意に延長すること、日毎の周期の標準偏差(τSD)とその変動係数(τCV)が有意に増大することが判明した。同様の効果が複眼時計のみを選択的に停止させた場合にも得られた。従って、複眼時計は、視葉時計へ神経路を介して温度依存的に視葉時計のτとその安定性を制御することが示唆された。一方、視葉時計は神経路介して複眼の感度リズムを制御していることから、複眼時計-視葉時計系は、相互作用を介して、相互に安定な振動系をなすことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでに昆虫の中枢時計と末梢時計との関係については、ハエで複眼、脚等にある末梢時計が中枢時計とは独立して振動していること、またゴキブリでは触角の化学感覚受容リズムが視葉時計に強く依存しており、視葉切除後は無周期となることなどが示されている。しかし、末梢時計から中枢時計への制御や末梢時計と中枢時計との相互作用については、未解明である。本研究は、コオロギ複眼時計―視葉時計系を対象として、抹消時計から中枢時計への制御があることを初めて示すとともに、中枢時計と末梢時計が相互作用を介して、安定な振動系を構築することを初めて明らかにした。この成果は、他の動物での複数振動体系研究の指針となるものである。
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