研究課題/領域番号 |
21K06282
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45010:遺伝学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
稲垣 恭子 日本医科大学, 医学部, 講師 (70537430)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 白色脂肪細胞 / エピゲノム / 質量分析 / ヒストン修飾 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満症は治癒が困難であり、脂肪が蓄積するメカニズムの解明は重要である。遺伝子の塩基配列に依存せず、遺伝子発現を調節する「エピゲノム」が細胞分化に関与していることが知られている。本研究ではエピゲノムに関与するヒストン修飾が白色脂肪細胞が分化し脂肪を蓄積する過程で生じる変化を網羅的に解析する。これまでの脂肪細胞分化に関するエピゲノム研究はヒストン修飾部位に対する抗体を用いており抗体に依存する制約があった。本研究では抗体を必要としない質量分析法を改良して網羅的にヒストン修飾を解析する手法を確立し、白色脂肪細胞分化過程におけるヒストン修飾の組み合わせの変化を明らかにし、ヒストン修飾の意義を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では白色脂肪細胞の脂肪分化過程におけるヒストン修飾を網羅的に解析し、ヒストン修飾のなかでも同一ヒストン内のヒストンビバレント修飾の存在と意義を明らかにすることを目的としている。ヒストン修飾の分析において、既報の質量分析法(セミボトムアップ法)ではヒストンモノメチル化と同一質量の修飾を判別できないことから、本研究ではセミボトムアップ法で行われる質量分析の前処置である無水プロピオニル酸処理を同位体試薬13C無水プロピオン酸処理へ変更し、従来法では同定できないヒストンモノメチル化の同定を行っている。 同位体試薬13C無水プロピオン酸処理を行う系を立ち上げは終了し、白色脂肪分化過程の質量分析に必要な量の白色脂肪細胞を分化させ、時系列ごと(白色脂肪分化前、1日後、2日後、4日後、8日後)のヒストン精製を行い、無水プロピオン酸処理による質量分析と、13Cプロピオン酸処理による質量分析を行った。これによりこれまで既報では同定が困難であったヒストンのモノメチル化の同定、およびヒストン修飾の経時的変化のデータの収集を行った。無水プロピオン酸処理と、13C無水プロピオン酸処理で同定される修飾の違いについて比較検討を行い、既報と13C無水プロピオン酸処理による質量分析により同定されるヒストン修飾が異なることを確認することができた。また、一定の修飾においては、既報と13C無水プロピオン酸処理によるヒストン修飾の定量的変化が同一であることを確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白色脂肪分化過程におけるヒストン修飾の定量的変化の同定についてのプロトコールの立ち上げを行った。基礎データの収集は完了し、解析を行う段階となっている。今後ターゲットとしている修飾の分析を行う予定となっており、おおむね順調に進展している。定量的変化の解析も一定の傾向を認めており、再現性の確認を行う準備も完了している。
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今後の研究の推進方策 |
白色脂肪細胞の分化前、分化1日後、2日後、4日後、8日後の変化について既報の無水プロピオン酸処理と、同位体試薬13C無水プロピオン酸処理の比較を行い、再現性の確認と定量的変化の統計的有意性の検証を行う。データ比較、統計解析手法のプロトコールの立ち上げを行い、白色脂肪細胞分化過程で生じるヒストン修飾変化の定量的変化の有無の検討を進めていく。
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