研究課題/領域番号 |
21K06284
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45010:遺伝学関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
河邊 昭 京都産業大学, 生命科学部, 教授 (10582405)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | シロイヌナズナ / トランスポゾン / 動原体 / アブラナ科 |
研究開始時の研究の概要 |
動原体周辺へのトランスポゾンの局在は、ヘテロクロマチンや動原体をターゲットする転移特異性という能動的な機構と、自然選択の結果動原体周辺などの遺伝子密度が低い領域ではトランスポゾンの除去が起こらないという受動的な可能性の二つの仮説が考えられてきた。COPIA93ファミリーは植物で初めて同定された動原体への転移特異性を持つトランスポゾンであり、トランスポゾンの局在を理解する研究材料となりうる。本研究ではゲノム情報を用いた比較ゲノム解析的アプローチと、転移能を持つコピーの転移特性の分子生物学的アプローチの両面から研究をおこない、特異的な転移特性の成立とその分子的な機構の両面の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
アブラナ科植物におけるトランスポゾンファミリーの存在様式の調査をおこなった。シロイヌナズナ属で見つかった動原体領域をターゲットとするトランスポゾンファミリーについて、アブラナ科の植物を対象として、進化解析をおこない、類似の配列が広く存在することを確認していたが、このうちいくつかに関して、コピーのゲノム上での分布を調査した。動原体領域とそうでない領域に存在するグループが共存種を見出した。一部は次世代シークエンスによって新規転移を同定した。動原体をターゲットとする転移特性がアブラナ科の中では祖先型であることがはっきりとし、その中で転移特性が変化したグループが独立に出現していることがわかってきた。今後、系統間の違いや発現解析をしていくことで動原体をターゲットとする機構の進化様式と分子機構の解明を目指したい。 またシロイヌナズナを材料として、これまでに研究が進んでいた系統とは別の系統を利用して新たなグループを調査している。すでに系統間で挿入位置が異なる配列が多くみられるグループや、最近コピー数を増やしたと思われるグループを複数見出している。これらの系統について低メチル化剤処理や低メチル化変異の導入によるトランスポゾンの活性化を試みたところ、新規転移を確認することができた。現在までに新規転移は少数しか確認できていないので、今後はさらに世代更新を進めることに加えてデータ量を増やすことで転移可能なコピーの特定、その特性の調査をおこなっていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ解析について複数種、複数系統の解析が終了している。新規転移の確認を進めているが、世代更新が予定よりは遅れているが、解析が可能なものから実験をおこなっている。 解析対象とする近縁種を限定し、世代更新をさらに進めていくことで最終年での取りまとめを進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では転移能を持つコピーについて、シロイヌナズナに形質転換することで実際の転移を確認する予定であった。しかし、多くのコピーが大腸菌でのクローニングが困難なことがわかり、元の植物での低メチル化剤の処理による転移の誘導と特性の確認に方針を変更した。まだ、少数の結果しか得られていないが、低メチル化剤の処理により実際に転移を確認することで転移可能なコピーの同定と転移特性の解析が可能であることがわかってきた。 今後は、データ解析の結果をもとに解析対象を限定して詳細な解析を進めることでアブラナ科全体の状況の理解を進めていく。
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