研究課題/領域番号 |
21K06298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
守屋 敬子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 研究員 (70392371)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 鋤鼻系 / コモンマーモセット / 鋤鼻器 / 副嗅球 / 扁桃体皮質核 / 扁桃体内側核 / 神経トレーサー / 霊長類 / マーモセット / 内側扁桃体 / 進化 / 鋤鼻感覚 / 霊長目 |
研究開始時の研究の概要 |
脳を見れば、その動物がどの感覚器に依存して生活しているかわかるほど、感覚器からの入力が脳形態に及ぼす影響は大きい。 鋤鼻器はフェロモン受容を担う器官であるが、ヒトを含む一部の霊長類では進化的および発生学的に退化している。それら動物では、フェロモン受容という繁殖に関連する感覚器が欠失したほうが子孫繁栄したと言え、大変興味深い。本研究では、コモンマーモセットを用いて、フェロモン受容の神経回路を解析するとともに、鋤鼻機能を欠損したマーモセットを作成し、『ヒト鋤鼻器消失過程の擬似進化モデル』として解析を行う。
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研究成果の概要 |
フェロモン受容器である鋤鼻器はヒトでは退化しているが、コモンマーモセットではわずかな鋤鼻受容体と共に機能的な鋤鼻器が存在する。本研究ではコモンマーモセットの鋤鼻系神経回路の可視化を試みた。マウスの扁桃体皮質核は、主嗅覚系からの出入力がなく鋤鼻系の神経回路として特化している。マーモセットの扁桃体皮質核の出入力を神経トレーサーを用いて確認したところ、扁桃体皮質核には鋤鼻系の一次中枢である副嗅球からの入力からだけでなく、主嗅球からの入力が確認された。また、扁桃体皮質核からの投射は鋤鼻系神経回路のみならず主嗅覚系神経回路の一部にも見られ、退化した鋤鼻系の機能を主嗅覚系が補填していると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回のマーモセット鋤鼻系神経回路可視化の結果により、マウスなどの哺乳類が繁殖や逃避などの鋤鼻系神経回路で処理していた情報を、鋤鼻器が退化した動物ではどのように処理しているのか、どのような神経回路の再編が行われ他のかを推測することができる。ヒトでは神経回路の可視化実験を行うことは困難であるため、マーモセットがマウスとは異なる神経回路を持っていることが示されたことは、ヒトの鋤鼻系神経回路の再編を想像するのに有用であると考えられる。
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