研究課題/領域番号 |
21K06305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山崎 博史 九州大学, 基幹教育院, 助教 (80750330)
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研究分担者 |
松林 圭 九州大学, 基幹教育院, 助教 (60528256)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | メイオベントス / メイオファウナパラドックス / 動吻動物 / トゲカワムシ / 分散 / 集団遺伝 / 集団遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
海産メイオベントス(小型底生動物)は浮遊幼生期を経ないことから、一般に分散能力が低いと推定される。しかし実際には広域に分布する種が複数見つかっており、「メイオファウナパラドックス」と呼ばれている。このパラドックスを解明するため、トゲカワムシ科動吻動物を用いて、分子系統地理・集団遺伝学的解析を行う。本研究では特に、潮間帯から潮下帯まで、生息水深帯の異なる複数種を解析対象とし、パラドックスの仕組みの全貌解明を試みる。
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研究実績の概要 |
令和4年度は下記の地点で採集調査を実施した:島根県隠岐島、新潟県佐渡島、福岡県糸島半島、熊本県天草。採集調査の結果、Echinoderes rexを隠岐島および天草から、Echinoderes sensibilisを隠岐島、佐渡島、糸島半島から、それぞれ十分な個体数得る事ができた。 また、天草サンプルからは同属別種のEchinoderes cf. parahorniも多数個体得る事ができている。本種は天草以外でも日本周辺の浅海底サンプルから多数得る事が出来ており、比較のため本研究対象に加える事とした。同様に、Echinoderes songaeも研究対象に加えている。これら2種は、研究代表者が過去に採集済みのサンプルや令和3年度採集サンプルにも多く含まれていたことから、再ソーティングを行い、三崎、萩、北海道忍路、瀬戸内海等の海域のサンプルを得る事が出来た。 現在得られているサンプルは、各種各地点約20個体について、DNA抽出を行い、ミトコンドリアCOI遺伝子の塩基配列を決定済みである。このDNA配列情報をを使用して予備的な解析を実施したところ、以下のような結果が得られている。1) E. tchefouensis は複数の隠蔽種を含む可能性が高い。2) E. sensibilisは主に本州以南に生息するが、種内では宮古島・沖縄本島周辺・種子島周辺の集団と、それ以外の集団でそれぞれ異なるクレードを形成する。また、後者のクレード内にも、地理的な遺伝構造が見受けられる。3) E. songaeは特に北海道周辺で多く生息するが、一部は瀬戸内海や関東沿岸でも見つかる。4) E. rexは本州・九州の浅海底に生息するが、遺伝的な多様性は低い。5) E. cf. parahorniは九州から北海道の浅海底に生息し、明確な地理的遺伝構造を示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、これまで新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて延期していた国内の調査の多くを実施する事ができた。一方で、令和4年度に実施予定であった韓国産サンプル調査は、現地および国内の感染状況によって実施調整が困難であったため、延期せざるを得なかった。 予定していたサンプルの一部は得られていないものがあるが、既に入手済みのサンプルの解析は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に実施できなかった韓国産サンプル調査の実施を予定している。また、これまでの調査の空白海域となっている、東海地方沿岸について、名古屋大学附属菅島臨海実験所へ赴き、調査を実施予定である。 新規採集個体は、DNA抽出を行う他、既にDNA抽出済み個体と併せてミトコンドリアCOI遺伝子以外のマーカーについても、塩基配列を決定していく。
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