研究課題/領域番号 |
21K06306
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
辻田 有紀 佐賀大学, 農学部, 准教授 (80522523)
|
研究分担者 |
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, グループ長 (50280524)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 菌根共生 / 海洋島 / ラン科植物 / 種子発芽 / ラン科 / 系統分類 / 菌類 |
研究開始時の研究の概要 |
火山活動や隆起により誕生した海洋島では、海を渡ってたどり着いた植物が固有の植物相を形成する。しかし、陸上植物の中には、特定の共生菌パートナーがいる場所でしか定着できない種類が存在する。このような特性は、一見分布拡大には不利に思えるが、実際は海洋島にも自生が見られる。一体どうやって定着したのだろうか?本研究は、このような特性をもつ植物が、海洋島への定着を成し得たメカニズムを菌共生の視点から探るため、近年新たに小笠原諸島の海洋島へ定着したトサカメオトランの菌共生を解明する。
|
研究実績の概要 |
トサカメオトランは国内ではこれまで琉球列島でしか分布が知られていなかった。しかし、2009年に小笠原の無人島向島で発見され、その後母島でも生育が確認されており、ごく最近小笠原諸島へ分布が拡大したと考えられている。ラン科植物の種子は、微細で長距離の飛散が可能である反面、貯蔵養分を蓄えておらず、発芽時に特定の共生菌類から栄養供給を受ける必要がある。また、共生菌からの栄養供給は成熟後も継続する。必要な菌の種類や数は、ランの種によって様々であり、また、発芽時と成熟時で共生する菌類相が変化するケースも知られている。そこで本研究では、小笠原の海洋島へ定着する際にどのような菌類が関与していたかを明らかにするため、小笠原に自生する成熟個体の根を採取し、DNA分析によって共生菌の種類を特定した。また、自生地播種試験法を用いて自生地での種子発芽に関わっている共生菌を明らかにするとともに、シャーレ内で種子と菌を共生培養し、in vitro下で発芽に関与する菌種を特定した。さらに、小笠原へ移入した際に、現地でこれまで共生してこなかった新たな菌をリクルートして定着したのか、あるいはこれまで他の分布地で共生していた同類の菌が小笠原にも存在していたのかを明らかにするため、比較対象として琉球列島の個体群についても同様の調査を行い、小笠原の菌相と比較した。その結果、琉球列島と小笠原間で共通の共生菌が存在し、分子系統解析によりこれらの菌類は広域分布種であることが明らかとなり、後者の仮説を支持するものであった。小笠原と同様に海洋島へ進出したメカニズムを解明するため、本種が分布するグアム島でも同調査を進めている。
|