研究課題/領域番号 |
21K06309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
小林 憲生 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00400036)
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研究分担者 |
大原 昌宏 北海道大学, 総合博物館, 教授 (50221833)
根岸 淳二郎 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (90423029)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 海浜性昆虫 / 防潮堤 / 生息微環境 / 食性の変化 / 資源利用-Web / 食性 / 食物網 |
研究開始時の研究の概要 |
2011年の東日本大震災の津波で被災した東北地方太平洋側の海浜環境の生物相の約10年間の環境変化を、津波前・津波後、及び防潮堤建設後と対比させつつ記述することを第一の目的とする。次いで、海浜性昆虫が生息可能な諸条件の推定から、より詳細で正確な「資源利用-Web」の作成と防潮堤がもたらすWeb構造の“変化”を明らかにすることによって、生物多様性の維持に必要な環境要因の特定と、豊かな環境の維持への理解の一助とする。
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研究実績の概要 |
海浜という限られた環境にのみ生息する浜性甲虫には、飛翔力を欠く種が多く、海浜環境への適応を考える上で格好の材料として知られている。この海浜性甲虫群集は、波打ち際(微環境a)、湿った砂(微環境b)、乾燥した砂(微環境c)と、僅か20-30mの範囲内で種構成が変化するため、種によっては生息微環境と餌の場所が異なり、微環境a-bを行き来する種、微環境b-cを移動する種など、複数の微環境を利用する場合も有る。その結果、防潮堤建設によって、上記のいずれかの環境が消失する、或いはこれら微環境a-b-cが分断され、様々な海浜性生物の存否に影響を及ぼす可能性がある。その一方、消滅を免れた種においては、餌資源を変更するなどが生じている可能性もある。本研究では、海浜性甲虫類の詳細な生息場所の調査、及び食性に関する実験等を行い、海浜性昆虫が生息可能な条件を探索すると共に、食物網(Food-Web)を拡張させた、生息場所から餌までの資源利用に関する多次元的な「資源利用-Web」を作成し、防潮堤がもたらすWeb構造の“変化”の解明を目的とする。 今年は、東北地方太平洋側の調査を行うと共に、ハマヒョウタンゴミムシダマシ、及びヒョウタンゴミムシの食性選好性、生息微環境の選好性に関する室内実験を行った。どちらの種においても、[微環境aに見られる塩水vs微環境cに見られる真水]の選好性実験では、真水を好む傾向が認められた。一方、[微環境aに出現する海産の餌資源vs微環境cに出現する陸産の餌資源]の選好性では差が認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響により、当初予定していた野外調査の規模を縮小したが、代替措置として、室内実験を前倒しにしているため、進捗状況としては概ね順調の範囲と言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、仙台周辺の調査・採集を行う予定である。室内飼育実験は、ハマヒョウタンゴミムシダマシ、ヒョウタンゴミムシの追加個体を用いた実験を継続する予定である。同様に、得られた標本に対して、安定同位体の比較を行い、採集した個体が陸産由来の餌資資源を利用しているのか、海産由来の餌資源を利用しているのか検証を行う。
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