研究課題/領域番号 |
21K06310
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
橋本 佳明 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 特任教授 (50254454)
|
研究分担者 |
市岡 孝朗 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40252283)
兵藤 不二夫 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (70435535)
山崎 健史 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (90746786)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | アリグモ / 食性 / 安定同位体分析 / 胃内容物分析 / 生物多様性 / 擬態 / 食生態学 / アリ類 / アリグモ類 / 熱帯林 / 食生態 / メタ・バーコーディング |
研究開始時の研究の概要 |
熱帯では,ハエトリグモ科アリグモ属の各種が同所の特定アリ種に外見を正確に似せる特異なアリ擬態が見られる。我々は,その正確なアリ擬態進化が,熱帯でのアリ類の高い種多様性を鋳型として,アリグモ属の高い種多様性を創出していることを明らかにしてきた。しかし,その一方で,アリグモ属では正確なアリ擬態が形態的制約になり,その跳躍力を大きく低下させ,捕獲能力をほぼ消失していることや,栄養源のほとんどを植物性のものに依存していることなども明らかになった。こうした研究成果を踏まえ,本研究の核心をなす問いとは,コストが伴なう正確なアリ擬態が,熱帯でアリグモ属の種多様性を増大させている謎を解明することである。
|
研究実績の概要 |
これまでの我々の研究で,熱帯雨林ではハエトリグモ科のアリグモ属は食性を肉食から植食に転換していることを明らかにした。これは,気候に明瞭な季節性のない熱帯雨林では,栄養価が低い餌源で成長速度が低下しても,アリグモは生存が可能なためであると考えた。一方,季節変動がある亜熱帯林ではアリグモは肉食性を維持している可能性がある。このことを検証するために,台湾・台中市内の亜熱帯林3ヶ所で,非擬態ハエトリグモ22種とアリグモ6種(166個体)と,同所のアリ類や周辺の落ち葉,生葉など(167地点)を採集し,窒素炭素同位体分析と胃内容物のメタバーコーディング分析による食性の解析を行なった。その結果,1)亜熱帯ではアリグモはアリよりは高い窒素同位体比を持ち,肉食性ハエトリグモに近い値を示した。また炭素同位体比についても同様の結果であった。さらに,2)アリグモ類のToxeus maxillosus(Myrmarachne maxillosa)の胃内容物からは,ハエトリグモ科の1種とコカゲロウ科の1種が,Myrmarachne japonicaからは,コカゲロウ科の1種とカスミカメムシ科の1種が餌として検出できた。これらの結果から,季節変動がある亜熱帯林ではアリグモは肉食性を維持している可能性が示唆された。今後,さらに調査地点やアリグモ種数と個体数を増やして,窒素炭素同位体分析と胃内容物のメタバーコーディング分析を行い,亜熱帯林におけるアリグモ属の食性解明を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で海外渡航が規制されていたため,海外調査の実施が遅くなったため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度と同様に,生物多様性が高く,季節変動の無い熱帯域と,それに比べて多様性が低く,季節変動が有る亜熱帯でアリグモ類の食性を比較するために,亜熱帯でハエトリグモやアリグモ類の採集調査を行う。採集した個体を用いて,窒素炭素同位体分析と胃内容物のメタバーコーディング解析を実施し,熱帯では植食性を示すアリグモ類が,亜熱帯では肉食性で有ることを明らかにしていく。
|