研究課題/領域番号 |
21K06311
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
長谷川 和範 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (70270410)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 日本海 / 深海 / 生物相 / 固有種 / 地史 |
研究開始時の研究の概要 |
日本海は地球上の他の海域に例を見ない激烈な地史的な環境の変遷を経てきた海域であり、その影響を受けて、生物相は著しく貧弱なものと考えられていた。しかし、巻貝類においては、深度帯の上部に比較的豊富な固有種が残されていることが徐々に明らかになってきている。本研究では日本海に現生する腹足類を分類学的に詳しく検討すること、および新生代の化石種、地史的な変遷、さらに周辺海域の現生種の情報と関連付けることにより、日本海における深海動物相の成り立ちを再考し、地球環境の変動と関連した生物相の成立過程を再検討するためのモデルを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、激烈な地史的環境の変遷を経てきた日本海について、腹足類を例とした深海動物相の成り立ちを再考し、地球環境の変動と関連した生物相の成立過程を再検討することを目的としている。その基本となる、日本海の現生深海腹足類相の詳しい種組成と分布様態を明らかにするために、最初のステップとして、既に国内外に蓄積された標本の詳しい検討と、調査航海への参加による新規標本取得を予定していた。しかし、下に述べる理由により主にロシアの研究機関に所蔵されている標本の調査や、調査船の乗船による新規標本の取得が困難となっているため、初年度に続き今年度も、主にこれまでの調査で蓄積された標本やデータの検討や解析、特に微小標本の精細な画像データの集積に注力した。 蓄積された標本の整理と分類学的な検討は、比較的順調に進捗している。また、海外出張が可能となったことで、アメリカの国立自然史博物館(スミソニアン協会)に保存されている、1900年代初頭に日本海の広いから採集された腹足類標本群を詳しく検討して知見を得ることができた。さらに、日本海に固有と推定される幾つかの種について分子系統解析を含む詳細な研究を遂行中で、そのうちの2種については、投稿原稿が受理された段階となっている。既に出版された成果としては、日本海の北部からオホーツク海に分布するイトカケガイ科の種の同定の混乱について、タイプ標本の検討を含めこれを解決したものがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初期段階の大きな課題として、調査航海に参加して新規標本を得ること、および主にロシア・モスクワの海洋研究所に保存されている主に日本海の北部で採集された膨大な標本を検討することを予定していたが、いずれも新型コロナウイルス感染拡大による共同研究体制の変更、および国際情勢の変化により実現が困難、あるいは不可能のままとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も主に蓄積された標本の検討を中心として研究を遂行する。ロシアの研究機関に保管されている膨大な標本の検討は事実上不可能となったが、研究期間中に状況が変ればこれも含めることを期待している。さらに、これまでの予備研究によってDNA解析に利用可能なサンプルもある程度蓄積されているため、これらを利用した研究へのエフォートを高める。これらに加えて、当館に最近収蔵された多数の佐渡沢根層の新生代化石コレクションや、近隣海域の標本との比較・検討により当初の目的は達成できると考えている。
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