研究課題/領域番号 |
21K06312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
吉田 光宏 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生命理工学センター), 准研究員 (60565555)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 深海 / 海底下 / 堆積物 / ウイルス / メタゲノミクス / 微生物 / メタゲノム / 生態 |
研究開始時の研究の概要 |
環境中のウイルスは、宿主バイオマスの動態制御や炭素循環の駆動、遺伝子水平伝播に関わる因子として、微生物生態系において重要な役割を担っている。現在までの環境ウイルスの研究は、海洋のシアノバクテリアや従属栄養細菌を宿主とする二本鎖DNAウイルスに偏っている。生命誕生の場として有力な深海底生命圏における様々な極限環境ウイルス群集の生態および宿主との相互作用を明らかにするため、本研究では、一本鎖DNAやRNAタイプの未知原始系統群をも標的とする分子生態学的ウイルス群集解析手法による革新的アプローチを確立・導入し、深海底ウイルスの群集構造・環境特異性・宿主微生物・初期進化プロセスを解明する。
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研究実績の概要 |
近年、海洋環境に存在するウイルスは、宿主である微生物への感染を経て、それらの群集組成に顕著な変化や多様性を付与する事例、また、海洋の炭素循環に も寄与することが報告されており、海洋ウイルスの生態学的重要性について、これまで精力的に研究が行われてきた。しかしながら、生命誕生の場とされる深海 底生命圏におけるウイルスの知見は極めて少ないのが現状である。そこで本研究では、一本鎖DNAやRNAタイプの未知原始系統群をも標的とする分子生態学的ウイ ルス群集解析手法を用いて、深海底ウイルスの群集構造や多様性などに関する生態学的知見の収集を目的としている。 今年度は、未着手であった海底下深層部における6種(海底下363mまで)の堆積物試料について、ウイルス画分を回収し、この画分からウイルスのゲノムDNAの抽出を行った。次に、現場ウイルス群集 メタゲノムを標的とした網羅的解析手法を各試料に対して実施した。取得したウイルスメタゲノムの配列をもとに、現場におけるウイルスの全ゲノム配列の構築を行った結果、多様な新規ウイルスに由来するゲノム配列の全長を取得することが出来た。一部の構築ゲノムについては、環状化を認め、Asgard古細菌に特異的なCRISPR配列を有することが明らかになった。さらに、本古細菌を宿主とするウイルス配列の豊富な存在量は、海底下の微生物活動や宿主との相互作用・進化において重要な役割を担っているものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオマスがごく微量であることが想定される海底下深部堆積層より採取した試料のうち、大方の試料からウイルスゲノムの配列を発見するに至った。さらに、Asgard古細菌に感染するウイルスゲノムを含む新規のゲノムが豊富に存在している可能性が高いことが突き止められた。こうした知見の取得を踏まえ、当初の計画どおり研究を遂行できたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
新規極限環境ウイルスゲノムの構築において、まだ解析の作業が完了していない試料が存在するため、これらの作業を進めるとともに、発見した新規ウイルスが保有する特異な代謝関連遺伝子や有用遺伝子を探索し、これらの特徴付けを試みる。
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