研究課題/領域番号 |
21K06314
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小藤 累美子 金沢大学, 生命理工学系, 助教 (40324066)
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研究分担者 |
嶋村 正樹 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (00432708)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ツノゴケ / 葉状体 / 幹細胞 / 形態 / 系統 / 分類 / 陸上植物 / 原始形質 |
研究開始時の研究の概要 |
最近決着した現生陸上植物の系統関係では、最基部でコケ植物と維管束植物の二大系統に分岐し、コケ植物の基部にツノゴケ類が位置する。これを受けて陸上植物の様々な形質の進化過程が再検討されつつあるが、祖先形質の推定で鍵となるツノゴケ類の形態形質および発生過程のこれまでの見解には間違いがあることが応募者らの近年の研究から明らかになってきた。本研究では、ツノゴケ類の多様な属を用い主に配偶体におけるツノゴケ類の形態とその発生過程を明らかにした上で、ツノゴケ類における普遍的な形質と多様な形質およびその進化過程を推定する。さらに他のコケ植物、基部維管束植物と比較し、陸上植物における配偶体の祖先形質を推定する。
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研究実績の概要 |
日本産ツノゴケ類の分類の検討と形態および発生過程の観察をおこなうため、日本各地でツノゴケ類を採集し、ホウライツノゴケAnthoderos angustus、ミドリツノゴケFolioceros appendiculatus、タカネツノゴケなどの生鮮試料を新たに得た。 試料を元に日本産ツノゴケ属の比較形態学的研究と分子系統解析を進めた。Anthoceros 属とFolioceros属以外では胞子体の弾糸(偽弾糸)に独特の自己蛍光が存在することを確かめ、この自家蛍光特性がツノゴケ分類群を識別するのに有効であることを示した。タイ類では弾糸の自己蛍光が検出されず、ツノゴケ類には弾糸(偽弾糸)に特有の細胞壁成分が存在していることが示唆された(論文)。日本で Anthoceros fusiformis として扱われてきた植物(タカネツノゴケ)に関して,胞子表面の形態がA. fusiformis とは異なることに加え,分子系統解析により北米産の A. fusiformis と系統を異にする 2 つのクレードに分けられたため,これまで未記載の新種の可能性が高いことを明らかにした(学会発表)。 立教大の榊原恵子教授の協力により、基部系統のLeiosporocerosについてイギリスのグループから無菌培養株を取得し、培養を開始した。またライブイメージングで幹細胞動体を観察するために、細胞膜移行シグナルを融合させたGFPを構成的に発現するコンストラクトをナガサキツノゴケAnthoceros agrestis実験系統に形質転換依頼してもらい、得られた複数の株を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度に新型コロナによる研究室閉鎖の影響で本研究に使用予定だった複数の実験株が失われたこと、培養条件の再検討が必要となったこと、研究代表者が病気になり治療とその後の療養で研究できない期間が生じたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
基部系統のLeiosporoceros、Anthoceros属のA. agrestisとA. angustusの培養株、野外から採取したFoliocerosを用いて形態と発生過程の観察を行う。 細胞膜移行シグナルを融合させたGFPを構成的に発現するコンストラクトをナガサキツノゴケAnthoceros agrestis実験系統に形質転換して得られた株について、シグナル強度の高い株を選抜したのち、ライブイメージングを行う。
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