研究課題/領域番号 |
21K06315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
渡邊 幹男 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30270995)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ポリネーター / 食虫植物 / 種子形成 / 視覚的形質 / 保全 / ナガバノイシモチソウ / 種分化 |
研究開始時の研究の概要 |
日本産ナガバノイシモチソウ花序は,粘液を分泌する捕虫葉を,開花期と同時期に花のごく近傍の空中に展葉する。それに対して,Drosera indica L.の花序は,捕虫葉の上部またはそれ以上高い位置に展葉する。そこで本研究では,東南アジアに分布するD. indica L.と日本産ナガバノイシモチソウのポリネーターと餌昆虫の重複による近交弱勢の有無や開花の状況に置ける種子形成の有無,さらに分類学的に重要な種子表面の模様の特徴の比較および遺伝的解析を行い,花色および花茎と捕虫葉の位置の違うナガバノイシモチソウの種分化について明らかにする
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研究実績の概要 |
北半球に自生するモウセンゴケ属の多くは、悪天候時など昆虫が訪花しないときは、花を開かず、つぼみの中で受粉することがあります。そして、つぼみの中で受粉した花は、開花した場合と同程度の数の種子を生産する。このようなフレキシブルな送粉様式は、昆虫の訪問の確実性が低い環境に生息する種にとって、都合が良いと推定される。 タイのDrosera indicaと日本のD. toyoakensisに着目し,地理的条件によるトラップの視覚的形質の違いが餌昆虫捕獲に与える影響を検証した。赤い粘球を持つD. indicaと白い粘球を持つD. toyoakensisでは,餌昆虫の分類とサイズに統計学的に有意な違いが確認され,これは異なる選択圧によって進化した可能性が示唆された。しかし,トラップの色や餌昆虫の組成は様々な環境条件の影響を受けるため,これらの要因を統制したさらなる研究が必要である。 2023年にタイと豊明において行った調査結果は,下記の雑誌に掲載された。 Comparisons of prey fauna in tropical red traps vs. temperate whitish traps in carnivorous Drosera indica complex (Droseraceae). Plant Species Biology 39:173-180
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は,ナガバノイシモチソウとポリネーターおよび捕獲される昆虫の関係を海外において調査を行う計画であったが,コロナ禍のため調査を行うことができなかった。2023年度にタイにおいて海外調査を行った。2024年度は同じタイの調査地で赤い粘球を持つD. indicaと白い粘球を持つD. indicaを用いて比較を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も2021,2022年度同様に日本産ナガバノイシモチソウは,赤花を愛知県豊明市で,白花を栃木県栃木市(渡良瀬遊水地),愛知県武豊町,宮崎県川南町等の現在確認している場所に加えて,過去に生育していた場所での再調査も行う予定である。特に中途半端に開花した場合における種子形成の有無と形成された種子の発芽実験を行う予定である。 本研究の目的である日本産のナガバノイシモチソウと2023年度から調査を開始したタイのDrosera indica Lにおける比較を行うことである。遺伝子解析においては海外調査も含めて材料のサンプリング終了後行う予定である。
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