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島嶼環境に直面した広域分布種の送粉生態型分化と侵入定着過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06317
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分45030:多様性生物学および分類学関連
研究機関大阪教育大学

研究代表者

岡崎 純子  大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20195332)

研究分担者 長谷川 匡弘  地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 主任学芸員 (80610542)
阿部 晴恵  新潟大学, 佐渡自然共生科学センター, 准教授 (60462272)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワードポリネーターシフト / 島嶼生物学 / 蜜分泌 / 種分化 / 島嶼 / 蜜分析 / 蜜分泌パターン / 糖濃度 / 送粉生態型 / 本土 / 蛾媒花 / 広域分布種 / 訪花昆虫
研究開始時の研究の概要

種分化研究において島嶼は繁殖特性の進化要因と維持機構の解明に適した場所である。本土と明瞭な形態分化がみられない広域分布種でも島嶼での侵入・定着過程で遺伝子流動の制約や訪花昆虫相の変化に直面してきた歴史を持ち,送粉生態型分化を起こしている。本研究では伊豆諸島で夜行性から昼行性昆虫利用へとシフトがみられる広域域分布種キキョウ科ツリガネニンジン類で1)伊豆諸島での訪花昆虫相のシフトに対応したどのような送粉生態型がみられるのか。2)この分化が侵入定着過程のどこで生じたのか。3)侵入定着はどのような経路で起こったのか。4)伊豆諸島での現象が他の地史をもつ離島(佐渡島・隠岐島)でもみられるのかを検証する。

研究実績の概要

日本列島に広く分布し普通種とされてきたが訪花昆虫の利用が本土と比較的近いながら海洋島であるという特性を持つ伊豆諸島で利用する訪花昆虫相が夜間から昼閒昆虫へシフトし形態に分化がみられるという,離島での送粉生態型分化の材料として有用であるキキョウ科ツリガネニンジン類を用いて島嶼での訪花昆虫相のシフトに適応した蜜分泌の繁殖特性ががどのように分化しているのか,伊豆諸島でのこの興味深い訪花昆虫シフトが侵入定着過程の事後事前のどこで生じたのか,伊豆諸島で見られた現象が他の地史的歴史が異なる離島環境(海洋島や大陸島)でもみられる一般的な現象なのかを解明・検証するため令和5年度は古い大陸島である隠岐の島の島後島海岸集団と本土側島根県浜田市の海岸集団を調査地としてこの両者で送粉型分化と蜜分泌特性の分化がみられるのかの解明に取り組んだ。
令和5年8月下旬に標本情報を元に隠岐の島の島後島海岸集団でツリガネニンジン類の分布と開花状況調査を行った。残念ながら令和5年の8月は通常と異なる高温と渇水が続き生育個体のほとんどが開花終了後結実せず枯れているのが観察された。そのため残っていた個体のDNAサンプルの採取は行えたが訪花昆虫相調査および蜜分泌特性調査は断念し,翌年度に延期することになった。
一方,対応する本土集団である島根県浜田市集団での調査からは訪花昆虫として他の本土集団同様夜行性の蛾類が有効な訪花昆虫となっていて,蜜分泌は昼間は分泌せず夕方から夜間にかけて分泌されており,有効な訪花昆虫との対応がみられることが明らかになった。糖濃度と糖組成はこれまで調査してきた伊豆諸島集団や佐渡集団それらの対応本土集団と大きな違いはなく、それらと有意な差は認められなかった。隠岐の島集団、浜田市集団のDNA解析は現在解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実績の概要で述べたように令和5年度は古い大陸島である隠岐の島と本土での送粉生態型分化の有無を検証する予定であったが令和5年の夏が異常気象で高温が続き,また少雨であったため,ツリガネニンジン類個体の開花の調査に適切な開花時期が予想より数週間以上早く調査に訪れた頃には地上部が枯れた個体が集団のほとんどを占めた。そのため隠岐の島での訪花昆虫相調査を延期せざるを得なかった。それ故,令和5年度に予定していたデータを十分にとることができず研究に遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

令和6年度には(1)古い大陸島としての隠岐の島と本土間での送粉生態型分化の有無の解析と蜜分析の比較調査(2)定着過程特定のための次世代シーケンス分析を行う。(1)については令和5年に達成できなかった隠岐の島集団での訪花昆虫相調査,蜜分泌特性の調査および蜜採集を行う。採集した蜜は研究室に持ち帰りHPLC分析により糖成分,糖濃度の分析を行い,島根県の本土側である浜田市海岸集団の結果との比較を行う。(2)については今まで採集してきた集団サンプルと他の地域のサンプルを含め次世代シーケンスにかけてSNP解析を実施し,日本列島での本植物の島嶼侵入定着過程の推定を行う。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 高等学校生物における観察実験の教材開発と実験授業の教育的効果-植物学者モーリッシュの観察実験書を用いた教材開発とその応用-2024

    • 著者名/発表者名
      中村 優太、岡崎 純子
    • 雑誌名

      大阪教育大学紀要. 総合教育科学

      巻: 72 ページ: 181-198

    • DOI

      10.32287/TD00032828

    • URL

      http://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/dspace/handle/123456789/32828

    • 年月日
      2024-02-29
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 分布南限集団におけるキキョウ科ツリガネニンジン類の訪花昆虫相と種子生産2024

    • 著者名/発表者名
      岡崎純子・長谷川匡弘・古井陽登・ 木場勇樹・木下桂・木下栄一郎
    • 学会等名
      日本生態学会第71回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 島嶼環境に直面した広域分布種の送粉生態型分化2023

    • 著者名/発表者名
      岡崎純子
    • 学会等名
      2023年度日本植物分類学会講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 島嶼性ツリガネニンジンの昼夜におけるポリネーターシフトについて2023

    • 著者名/発表者名
      熱方悠人・岡崎純子・長谷川匡弘・阿部晴恵
    • 学会等名
      日本生態学会第70回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 訪花昆虫相シフトはツリガネニンジンの形態と蜜分泌特性の分化を引き起こしているのか2023

    • 著者名/発表者名
      岡崎純子・仙田耕大・酒井優奈・川村三志夫・名波哲・長谷川匡弘・阿部晴恵
    • 学会等名
      日本生態学会第70回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ツリガネニンジン(キキョウ科)の訪花昆虫に対応した本土と伊豆諸島での開花特性分化2022

    • 著者名/発表者名
      岡崎純子・ 鍋谷陽・木村俊一朗・長谷川匡弘・河合智也・ 阪口奨・ 鳥山航 平・ 阿部晴恵
    • 学会等名
      日本生態学会69回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 広域分布種ツリガネニンジン類の交雑ゾーンでの遺伝的多様性と形態変異の解析2022

    • 著者名/発表者名
      木村俊一朗・岡﨑純子・鍋谷陽・長谷川匡弘・鈴木浩司・植松千代美
    • 学会等名
      日本植物分類学会第21回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] キキョウ科サイヨウシャジンの昼夜の訪花昆虫による繁殖成功度の比較2022

    • 著者名/発表者名
      岡崎純子・脇坂香恵・中島亞きら・長谷川匡弘
    • 学会等名
      奈良植物研究会大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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