研究課題/領域番号 |
21K06323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
常盤 俊大 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (50757755)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | コクシジウム / 絶滅危惧種 / 寄生虫 / 共種分化 / 野生動物 / 両生類 / 鳥類 / 多様性 / カエル / 天然記念物 / Eimeria / Hyaloklossia / 原虫 / サルコシスティス / 猛禽類 / 無尾類 |
研究開始時の研究の概要 |
コクシジウム類はアピコンプレックス門アイメリア亜目に属する偏性細胞内寄生原虫である。コクシジウム類の研究は、人や家畜・家禽、愛玩動物に寄生するものが中心で、それ以外の動物(鳥類、哺乳類、爬虫類、両生類、魚類)に寄生する種は着目されてこなかった。 本研究は、多様な動物から珍奇なコクシジウム類を収集し、種記載を進めるとともに、DNAバーコードを活用した分類データベースを整備し、コクシジウムの種多様性について評価する。得られた知見をもとに、コクシジウム類の分類学的再検討を行い、宿主の系統および宿主特異性の観点から宿主との共種分化の過程を推察することで進化的変遷の解明を試みる。
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研究実績の概要 |
コクシジウム類はアピコンプレックス門アイメリア亜目に属する偏性細胞内寄生原虫である。本研究課題では、様々な動物に寄生する“新奇”のコクシジウムを探索し、種の多様性を評価し、宿主適応の過程を探る。各種動物より得た虫体を材料として、形態および遺伝子情報を入手し、地域、宿主、寄生部位および体内ステージの情報と併せて包括的な分類学的位置を評価し、また、宿主の系統と比較することで共種分化の過程を探ることを目的とする。本年度の主な成果は以下の通りである。 1)両生類のコクシジウムに関する研究:無尾類から検出したコクシジウムについて同定を試みた。オーシストの形態学観察は、これまで国外の両生類から記録のあるアイメリア科のIsospora属のそれと類似していたが、分子系統樹解析によりサルコシスティス科に属し、Hyaloklossia属と単系統群を形成することを明らかとした。 2)アマミノクロウサギのコクシジウムに関する研究:奄美大島ならびに徳之島にのみ生息するアマミノクロウサギに寄生するコクシジウムについて、前年度にEImeria3種を種記載した。18S rRNA遺伝子およびcox1遺伝子を用いた系統樹解析では、これらは他のウサギ類から検出されるEimeria属と単系統群を形成することが判明し、クロウサギの祖先となるウサギ類とともに種分化したコクシジウムであると考えられた。 3)鳥類(ヤマシギ、ウ、ミズナギドリ)の腎臓に寄生するEimeria属原虫を見出し、系統学的位置を明らかとした。 4)その他のコクシジウム:爬虫類からCholeoeimeria属、魚類、哺乳類からEimeria属の未記載種と思われるコクシジウムオーシストを検出し、形態学的特徴を明らかとし、遺伝子解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、無尾類および鳥類から検出したコクシジウムの解析結果を元にサルコシスティス科における亜科レベルの再編を行った。また、希少種を宿主とするコクシジウムについても収集および種記載を進めている。無尾類のコクシジウムについては追加の解析に時間を要しており、成果発表がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、野生哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類および魚類等の、これまで注目されてこなかった動物種に寄生するコクシジウム類の探索と解析を行い、多様性の解明を試みる。これらのうち、特に、無尾類に寄生する新属と思しきコクシジウムについての種記載を目標とする。
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