研究課題/領域番号 |
21K06327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
藤田 敏彦 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 部長 (70222263)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 分子系統解析 / ホウキボシ科 / ゴカクヒトデ科 / ヒトデ綱 / 深海 / 分類体系 / 多様化 / 祖先形質復元 / 適応形態 / R/r比 / 分類 / 系統 / 棘皮動物 |
研究開始時の研究の概要 |
アカヒトデ目に属するホウキボシ科とゴカクヒトデ科を対象に系統分類学的研究を行う.前者は熱帯の浅海で優占し盤が小さく腕が細長いのに対し,後者は寒冷な深海で優占し体は平たい五角形をしている.両科は分類学的に混乱しており,ホウキボシ科とされている種の一部は実際にはゴカクヒトデ科であることがわかってきた. そこで,これら両科に属する種・属の分類体系と系統関係を分子系統解析によって明らかにし,両科の対照的な形態や生態の特徴の祖先形質復元によって,多くの底生動物で推測されている方向性とは逆の,深海から浅海への分布の拡大という現象に着目し,これらの特徴の浅海環境への適応について議論する.
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研究成果の概要 |
ホウキボシ科とゴカクヒトデ科を対象に形態と分子の両面から系統分類学的研究を行った.ホウキボシ科は腕が細長い形状で浅海で優占しているのに対し,ゴカクヒトデ科は五角形の形状で深海で優占している.分子系統解析によって,これまでホウキボシ科とされてきた種の多くは,ゴカクヒトデ科であることが判明し,分類体系を大きく見直す必要があることが判明した.祖先形質復元によって,ゴカクヒトデ科の一部が深海から浅海へと分布を広げたことが推定され,浅海においてホウキボシ科と似た体形に進化したと考えられた.深海から浅海へと分布を拡大し多様化したという,多くの底生動物での仮定とは逆の方向性の進化が明らかとなってきた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物は進化によって,様々な形態を生み出してきた.形態がそれぞれの系統でどのように変化したのかを追うことは,進化を理解する上での重要な課題である.ヒトデ類においては,これまで形態から推定されていた分類・系統が,分子系統解析によって大きく見直されつつある.系統に基づく分類体系と分類形質とを対比させた分析から,進化の実像がわかるようになり,浅海から浅海へ進出して多様化するという,これまであまり指摘されていなかった進化の道筋を示唆することができた.
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