研究課題/領域番号 |
21K06333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
広橋 教貴 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (90376997)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 頭足類 / 繁殖行動 / 繁殖戦略 / 交尾後性選択 / 精子競争 / ホタルイカモドキ / 深海生物 / 繁殖様式 / 乱婚 / ダイオウイカ / ホタルイカ / 父性解析 / 繁殖戦術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ホタルイカの単婚発見を契機に、これまで手つかずであった深海性イカ類の繁殖様式を明らかにし、深海という特殊な環境またはホタルイカ独自の生活史形質が単婚進化と如何に関連するのかを明らかにする。さらに申請者が行ったこれまでの研究経過から単婚-乱婚の選択を決める環境要因や生理的変化を究明するとともに頭足類で初めてとなる性決定様式の解明のための性染色体の存在を証明する。
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研究実績の概要 |
頭足類(イカ・タコ)は一般に乱婚であり、雄が示す多様な繁殖行動、繁殖戦略の観察が比較的容易なため、交尾後性選択(精子競争と雌の隠れた選択)の格好の研究対象となっているが、「頭足類=乱婚」の常識を破ったのが、深海性のホタルイカであった(Sci Rep 2020)。単婚が進化した環境要因は、ベイトマン理 論に合わないもの、つまり雌雄どちらかに何らかの制約がはたらき、子孫を残すのに乱婚より有利となったためと思われる。本研究では、ホタルイカの単婚研究を皮切りに、これまで手つかずであった深海性イカ類の繁殖様式を明らかにし、深海という特殊な環境またはイカ類独自の生活史形質と単婚の関係を明らかにすることを目的とした。該当年度に得られた知見と成果は次の通りである。 1)ホタルイカモドキの生活史と繁殖様式に関する研究 ほぼ単婚のホタルイカとの比較として、これまで全く知見のないホタルイカモドキの繁殖生態に関する調査を行った。その結果、交接期と産卵期を明らかにし、さらに繁殖シーズン終盤に性比が雄に偏るといった、ホタルイカとは逆の現象を観察した。さらにマイクロサテライトマーカーを開発した。 2)ホタルイカにおける稀に起こる乱婚雌の解析 我々の先行研究で明らかとなった5%程度の雌が複数の雄と交接を行う現象に着目した。まず、雌に付着した精子塊数と交接に関与した雄の数に明確な相関関係があるのを明らかにした。即ち、付着数7以下では全ての雌が単婚だったのに対し、付着数12以上の個体は全て乱婚であった。この間の個体は、付着数と乱婚度に正の相関があった。この結果を用いて、5000個体以上の雌に付着する精子塊数から乱婚度を再計算したところ、8%であることが分かった。さらに、乱婚度の週変化を調べたところ、繁殖期間中に性比が雄偏向から雌偏向に変化するにも関わらず、乱婚度はほぼ一定であった。これらの結果をまとめて論文発表をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2速の論文発表を行い、さらに現在、複数の論文発表の準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
ホタルイカモドキの乱婚度を明らかにして、この種で初めての繁殖様式に関する論文を仕上げる。また、ダイオウイカの最近の知見をまとめて論文に仕上げる。
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