研究課題/領域番号 |
21K06334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三村 真紀子 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (60451689)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 同倍数性種分化 / ニッチ分化 / イカリソウ属 / 環境ストレス耐性 / 交配実験 / 種分化 / 交雑 / homoploid speciation / 地質適応 |
研究開始時の研究の概要 |
倍数化を伴わない種間交雑では、雑種が親種と容易に交配できる可能性が高く、生殖隔離が成立しにくいため、種分化が起こりにくいと考えられてきた。そのため、生物多様性における重要性が議論されている。しかし、交雑は集団内に膨大な多様性を作り出すため、新規の表現型やニッチの獲得も可能にする。イカリソウ属には、交雑が起源とされている種が複数存在し、特殊な土壌や海岸部などに進出した種集団がある。本研究では、西日本で多様化している同倍数性のイカリソウ属を用いて、交雑による同倍数性種分化プロセスを明らかにする。
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研究実績の概要 |
倍数化を伴わない交雑種分化(Homoploid Hybrid Speciation)は、親種との生殖隔離が成立しにくいと考えられてきたため、種分化における重要性が今でも議論されている。しかし、同じ倍数体でも、新規の表現型による生態学的隔離やそれによって形成される地理的隔離に加え、遺伝的不和合による内因的隔離など様々なフェーズで雑種と親種との間に生殖隔離は成立しうる。交雑は集団内に膨大な多様性を作り出し、迅速な適応進化をも可能にする。本研究では、西日本で多様化しているイカリソウ属を用いて、倍数化を伴わない交雑種分化における生殖隔離機構を明らかにするとともに、交雑種からさらなる分化が引き起こされる種分化プロセスを明らかにすることを目的としている。 これまで多様性の高い西日本を中心に、全国の10種(亜種変種を含む)61集団から葉サンプルおよび株の収集を行った。これに加えて外群としてホザキノイカリソウのサンプルを得た。ITSなどの一般的なバーコーディング領域では変異が少なく系統解析が困難だったが、MIGseqによる系統解析により種間の系統的関係を明らかにした。また、種間の形態的特性、交配実験による内因的生殖隔離の検証、環境ストレス実験による新規形質を伴うニッチ分化の検証、および気象データベースを用いたニッチモデリングによるニッチ同一性検定を行った。イカリソウ属は比較的若い属で遺伝的分化が浅く、内因的生殖隔離が完全には確立していないものの、種間交雑率は種内交雑率に比べて低下する傾向があり、気象や環境ストレス耐性を伴うニッチ分化も見られた。今後はサンプル数および変異サイト数を増やした集団遺伝学的解析を行い、移住および交雑の履歴を検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで全国から予定してたサンプルを収集できた。ITSなどの一般的なバーコーディング領域では変異が少なく系統解析が困難だったが、SNP解析により種間の系統的関係を明らかにした。また、種間の形態的特性、交配実験による内因的生殖隔離の検証、環境ストレス実験によるニッチ分化の検証、および気象データベースを用いたニッチモデリングによるニッチ同一性検定を行った。行動規制によりサンプル採集が遅れたものの、集団遺伝学的解析のサンプル準備も完了した。以上のことから、計画は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
集団遺伝学的解析のサンプル準備の完了したため、これらの解析を進める。これまでの種分化に関わる成果は学会発表および学術論文として公表する。
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