研究課題/領域番号 |
21K06340
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
小沼 順二 東邦大学, 理学部, 准教授 (10613838)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | QTL / サイズ / オサムシ / 形態 / 適応進化 / GRAS-Di / 逆ベルクマンの法則 / マイマイカブリ / 体サイズ / 平行進化 |
研究開始時の研究の概要 |
体サイズの異なるマイマイカブリ亜種を交雑させ、戻し交雑系統を構築する。構築した戻し交雑系統の体サイズに関して量的遺伝解析を適用し、体サイズの遺伝基盤を解明する。また、戻し交雑系統を用いてGRAS-Diシーケンスを行い、遺伝的連鎖地図を作製する。得られた連鎖地図を用いて体サイズに関する量的遺伝子座(QTL)マッピングを行う。QTL内に含まれる遺伝子の機能をアノテーション情報などをもとに調べ、体サイズに関わる遺伝子を決定する。
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研究実績の概要 |
大型マイマイカブリ亜種と小型マイマイカブリ亜種間の体サイズに関する遺伝子座数の推定精度を上げるため、量的遺伝解析方法と形態測定方法の改善を行った。具体的には、形態測定値に対し母性効果や雌雄体サイズ差を考慮した測定値の補正を行うとともに、測定値の幾何平均を体サイズ値として用いる形態解析法を適用した。以上の解析方法の変更後、再度、joint-scaling法に基づく相加遺伝効果と優性効果の推定、またCastle-Wright法による関連遺伝子座数の推定を行った。その結果、少数の遺伝子座が大型マイマイカブリ亜種と小型マイマイカブリ亜種間の体サイズに関与しているということを、再度、確認することができた。この結果は、マイマイカブリの体サイズ進化において少数の主要遺伝子が関与している可能性を示唆している。 実際に上記の体サイズ遺伝子を特定する上ではQTLマッピング等で体サイズの遺伝領域を特定するだけでなく、遺伝領域内の候補遺伝子を絞り込む必要がある。遺伝子発現解析などのトランスクリプトーム解析が候補遺伝子を絞り込む上で有効であるが、その際、体サイズ差を起因する発生ステージを特定することが重要となる。そこで、上記の実験に用いた大型マイマイカブリと小型マイマイカブリ、およびF1集団と戻し交雑集団の各発生ステージ期間を比較した。その結果、体サイズ差を生み出している複数の発生ステージを特定することができた。 マイマイカブリ亜種間の体サイズ差を生み出している遺伝領域の特定を目的にリシーケンス解析も行った。マイマイカブリの野生個体37集団からDNAを抽出し、全ゲノムランダムショットガンシーケンスを行った。その結果、合計33億リード、494Gbpの塩基配列を獲得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
形態測定学的には、形態情報は形と大きさの2変数値に大きく分けることができるものの、正確な定量化には困難が伴う。そのような形態値に関する遺伝効果の推定において厳密な統計解析の適用が必要であり、本年度、その解析を成功させることができた。また、形態差に重要な発生ステージの特定は、遺伝子発現解析を効率的に進める上で意義深い結果といえる。さらにリシーケンスデータの拡充は、QTLマッピングの代替手法として体サイズ遺伝領域を特定する上で大きな効果をもたらし得る。以上から、本年度の研究成果は本研究課題を着実に進めた結果といえ、概ね順調に進展していると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前途の量的遺伝解析に関する内容をまとめ学術雑誌に研究結果の発表を行う。また、GRAS-Diの解析で得られた分子マーカーを使って、連鎖解析を行い、遺伝的連鎖地図を作製する。さらに体サイズに関してQTLマッピングを行い、連鎖地図上の体サイズ遺伝領域を推定する。 体サイズ遺伝領域の推定後、領域内の遺伝子から候補遺伝子を絞り込む必要がある。そこで、大型マイマイカブリ亜種と小型マイマイカブリ亜種を対象としたRNA-Seqを行い、遺伝子発現解析から候補遺伝子の絞り込みを行う。 候補遺伝子を絞り込む上で体サイズ差を引き起こしている発生ステージを調べる必要がある。次年度、さらに実験を加え、発生ステージに関する詳細な結果を加える。
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