研究課題/領域番号 |
21K06378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹尾 ゆかり 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (90624320)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 神経細胞 / 神経回路発達 / 樹状突起形成 / 小脳 / 樹状突起 / 発達 / 分子機構 / 神経 |
研究開始時の研究の概要 |
脳は、多様な神経細胞が高密度に整然と配置されて構成されている。近年、同じ種類の細胞に属する神経細胞が互いに相互作用し、受け取る情報の量の違いやタイミングの差によって、異なった成長をすることがわかってた。本研究は、プルキンエ細胞という、大きくて非常に美しい網目様の細胞形態(樹状突起)を形成する神経細胞に着目して、互いに隣り合って並んでいる細胞どうしが、たがいの接触や情報伝達によって、細胞形態をどのように形作るのかを明らかにする。このような、脳神経系の発達過程の解明は、今は克服が困難な疾病の、将来の予防や治療に役立てるための土台となる基礎研究における、大きな目的の一つである。
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研究実績の概要 |
神経回路が脳機能を正しく発揮するには、情報伝達の場であるシナプスが適切な数、適切な場所に形成されることが必要と考えられている。本研究は、神経回路形成のメカニズムを解明するため、シナプスを受け取る主要な場である樹状突起の形態がどう制御され発達するかを検討している。樹状突起は脳内で精緻に枝分かれを形成し、突起が互いに適切な距離を保ちながら広がるが、その際に同じ細胞由来の突起同士が重なり合わずに配置される法則を「self-avoidance」と呼び、隣接する別の細胞の突起同士が重ならずに配置される法則を(タイルのように並べることから)「tiling」と呼ぶ。これらの法則がどのように達成されるのか、メカニズムはよくわかっていない。 本研究でこれまでに申請者は、マウス小脳プルキンエ細胞の樹状突起self-avoidanceにおいて、RPTPm遺伝子が重要な役割を果たすことを見出した。RPTPmタンパク質は細胞膜タンパク質であり、RPTPmどうしがトランスホモフィリック結合する細胞外領域と、細胞内でシグナル伝達に関わる脱リン酸化酵素領域があるが、self-avoidanceには細胞外領域と細胞内脱リン酸化活性の両方が必要であることも分かった。 Self-avoidanceのメカニズムとして、向かい合う突起の細胞膜表面に発現する細胞膜タンパク質どうしが相互作用することにより、何らかのシグナルが働くことで、突起同士が反発しあい、結果として重ならずに配置されることが想像されているが、そのメカニズムの実態はよくわかっていなかった。本研究の成果は、RPTPmが、細胞外領域による接着によって、細胞内で脱リン酸化シグナルを送ることが、プルキンエ細胞樹状突起のself-avoidanceを担うことを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
self-avoidanceにおいて、突起同士が実際に反発しあう過程を解明するため、当初はin vivoライブイメージングのみを想定していたが、プルキンエ細胞の発達中の樹状突起先端は非常に細く、また動きも速いため、より高い空間的・時間的解像度で観察するために、培養系でのイメージング系を構築した。本実験系によって、当初の研究目的をより効果的な方法で達成できると期待している。 また、従来のプルキンエ細胞樹状突起形態研究では、tilingに焦点を当てた研究は少ない。本研究では、特定のプルキンエ細胞と、周囲の別のプルキンエ細胞細胞とを別の蛍光タンパク質で可視化する手法を確立して、プルキンエ細胞が、別の細胞由来の樹状突起と、どのように空間をシェアあるいは分けて樹状突起を配置しているのか、tilingの実態について解析することが可能になった。 以上の成果は、当初の計画とは具体的な方法等の面で異なるものの、当初の研究目的に即したものであり、したがって本研究の進捗はおおむね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにライブイメージングによって樹状突起どうしの接触や反発の過程を実際に捉えた例は乏しく、実際に樹状突起の配置が膜タンパク質どうしの細胞接着でどのように制御されているのか不明である。本研究は今後、プルキンエ細胞を初代分散培養系でタイムラプスイメージングすることによって、RPTPmがどのように突起同士の接触やself-avoidanceを引き起こすのかを解明する。 また、これまで手付かずにされていた、プルキンエ細胞樹状突起の「tiling」についてもメカニズムを検討する。Tilingも、self-avoidanceと似て細胞間の反発機構によって起きると想定されているが、プルキンエ細胞においては、self-avoidanceと、tilingが異なるメカニズムなのかどうか、よくわかっていない。本研究ではRPTPmおよび、プルキンエ細胞樹状突起のself-avoidanceに関わることが既に報告されている別の複数の細胞膜タンパク質にも着目して、プルキンエ細胞を題材に、self-avoidanceおよびtilingが制御される基本原理を解明していく。
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