研究課題/領域番号 |
21K06379
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
濱田 耕造 東邦大学, 理学部, 訪問研究員 (00311358)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 小胞体 / カルシウムシグナリング / 認知症 / 細胞死 / 細胞老化 / カルシウム / 細胞内シグナリング / イノシトール三リン酸 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症の発症機構は解明されておらず治療法が未だ無い。本研究課題は小胞体の微小領域(マイクロドメイン)に焦点を当て認知症の発症機構を解明する。小胞体は様々なオルガネラ(細胞小器官)と結合しマイクロドメインを形成する。これまで申請者は小胞体のCa2+チャネルの制御異常が認知症の原因となる病態モデルを提案し、X線結晶構造解析により小胞体Ca2+チャネルの制御機構を解析した。更に、「小胞体マイクロドメインにおけるCa2+チャネルの構造変化」が病態や生理機能を制御するモデルを発表した (濱田らAnn Rev Physiol 2020)。本研究課題ではこれを発展させ、認知症の発症機構における小胞体マイクロドメインCa2+信号の役割を解明する。
|
研究実績の概要 |
1980年代から提唱されてきた「脳老化のカルシウム仮説」では、細胞内Ca2+濃度の上昇が神経細胞死を起こし認知症を発症すると考えられていた。しかし、Ca2+濃度上昇による細胞死のみでは神経細胞死以前に生じる機能低下や軽度認知症の発症メカニズムそして認知症に共通の所見である神経原繊維の形成は説明できない。 近年のクライオ電子顕微鏡の技術的革命によりポリグルタミン病で生じる細胞内繊維タンパク質が小胞体と接触していることが明らかにされた。これは認知症に共通する神経原繊維の形成に小胞体が関与することを強く示唆する。本研究では小胞体の微小領域(マイクロドメイン)におけるCa2+シグナルに焦点を当て認知症の分子メカニズムの解明を目指す。 小胞体の構造は古典的な教科書に記述されているように細胞核の周囲に局在する単純なものでは無く、細胞内のあらゆる部位に広域分布し、細胞質膜やミトコンドリアそしてリソソームなどの数々の細胞内小器官と物理的に結合する膜接合部位を形成することが明らかになって来た。最近の研究ではこの小胞体マイクロドメインの膜接合部位がアポトーシスやオートファジーそして細胞老化を制御するホットスポットになることが報告されている。 本研究では小胞体マイクロドメインにおけるCa2+チャネルに注目しユニークな構造変換現象を見出し新規のチャネル可塑性モデルを提案した(Ann Rev Physiol,2020)。更に欧米の研究室と国際共同研究を行った(BBA,2022, Cell Death Diff, 2022)。今後は更にこれを深め小胞体マイクロドメインのCa2+シグナルが認知症発症機構と関与する可能性を検証していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国際共同研究を行っているため、コロナウイルスによる世界的なパンデミックにより多大な被害をうけた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題では小胞体マイクロドメインに着目し、小胞体マイクロドメインが形成する膜接合部位に局在するカルシウムチャネル等と複合体を形成する蛋白質群を同定する。この実験で同定された蛋白質のうち、小胞体Ca2+チャネルと接合する他のオルガネラの蛋白質に注目することで、様々な小胞体マイクロドメイン蛋白質を同定することが可能となる。これらのアプローチにより既報に無い新しい成果が期待できる。既に多くの候補タンパク質を同定し、今後も継続し進める。
|