研究課題/領域番号 |
21K06385
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
山田 陸裕 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 客員研究員 (90469924)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | マウス / 睡眠 / EEG/EMG / 統計 / アルゴリズム / EEG / EMG |
研究開始時の研究の概要 |
近年の遺伝学の進歩により遺伝子改変動物の作出効率は急激に高まった.しかし一方で,表現型解析を行う手法の進歩は遅れており,効率的で客観的な手法の開発と普及が急務である.本提案では,マウスの睡眠・覚醒サイクルを対象とし,脳波/筋電(EEG/EMG)データから覚醒・REM睡眠・NREM睡眠の各ステージを自動的に判定するデータ解析手法を開発する.計測基準と評価方法の明確化を行い,また自動判定結果を研究者が視覚的にチェックする作業を支援するソフトウェアなどの関連するツール群を併せて開発する.睡眠・覚醒の神経機能的・分子的な理解促進の一助とし,ヒトの精神疾患や神経変性症の理解につなげる.
|
研究実績の概要 |
本提案では、マウス脳波/筋電(EEG/EMG)データから覚醒・REM睡眠・NREM睡眠の各ステージを自動的に判定するデータ解析手法を開発する。機械学習で行われる特徴量探索をあえて行わない、ある意味で「原始的」なアルゴリズム開発を敢えて指向する。これにより、膨大な教師データを用意する作業を不要にしたり、計算コストの高い統計学的アルゴリズムを不要にし、かつ、判定基準となる特徴量を明確に定義することで判定結果の解釈が容易にできるアルゴリズムを実現する。本年度は、未知の遺伝子変異によるEEG/EMGシグナル変化への適用性を検証した。提案者の所属研究室で作出された睡眠表現型に関わる遺伝子変異マウスの実データでアルゴリズムの適用性を検証した。この結果、多くの場合について開発したアルゴリズムが正常にステージ判定できることが確認された一方で、ごくまれなケースにおいて、判定精度が極端に低下するケースが見られた。このケースを詳細に調べたところ、睡眠状態と覚醒状態での高周波周波数成分の変化量が通常よりも極端に小さったことが分かった。これまでのアルゴリズムでは、低周波側と高周波側の変化量は同程度であることを前提としており、一方の変化量が極端に少ない場合は判定精度が低下する。この課題に取り組み、低周波側と高周波側の変化量のバランスを適度に自動調整するステップをアルゴリズムに加えることによって高い判定精度を維持できるようになった。また、開発中のソフトウェアによるEEG/EMG解析を活用した睡眠研究が進み、成果発表につながっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所属研究室において睡眠表現型に影響する遺伝子変異マウスの作出が順調に進み、実データでの試験を実施することができた。その結果,未知の遺伝子変異についての実データに対しても期待通りかそれ以上に安定した判定性能が得られることが確認できた。これにより、提案時に挙げていた課題のおおよそ8程度が解決できたと考えられ、3年計画の2年目として順当な成果だと捉えている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究者による確認・修正作業負担を軽減するソフトウェアツールを開発する。直感的な操作で視覚的にEEG/EMGシグナルを確認・修正できるツールの開発を目指す。また、ビデオなどEEG/EMG以外のデータを合わせて検討するためのソフトウェアツールを開発する。
|