研究課題/領域番号 |
21K06387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川口 大地 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (70549518)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 神経幹細胞 / 自閉症 / 大脳 / 発生・分化 / 前頭前皮質 / 脳・神経 |
研究開始時の研究の概要 |
前頭前皮質は人格の発現や社会的行動の調節といった高次脳機能に大きく貢献する大脳皮質領域である。一部の自閉症児において前頭前皮質が肥大していることが報告されており、この領域の肥大が自閉症発症の原因となっている可能性が考えられている。しかし、前頭前皮質肥大がどのような分子メカニズムにより引き起こされているのかは殆ど不明である。これまでに、神経幹細胞の増殖や分化の異常が前頭前皮質肥大に関与する可能性を示唆する結果を得ている。そこで本研究では、どのような分子メカニズムがこの神経幹細胞の運命制御異常に寄与しているのかを明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
自閉症児においてみられる局所脳肥大を担う分子メカニズムを明らかにするため、昨年度までに引き続き、脳局所肥大型の自閉症モデルマウスを用い、脳サイズ制御破綻および自閉症関連行動の引き金となる原因メカニズムを調べた。昨年度の結果から、将来肥大する領域の神経幹細胞において野生型に比べて有意に発現変動する因子が複数見出された。この結果をさらに検証するため、single cell RNA-seq解析を行った結果、大脳領域形成に必須のモルフォジェンシグナルの応答に大きな変化がみられた。この変化が胎生期のいつ、いかなる大脳部位において引き起こされているかを組織学的な解析により詳細に検討した結果、脳発生の非常に早い段階の大脳局所においてモルフォジェンそのものの発現量に変化がみられることが明らかとなった。今後は、この局所モルフォジェン量の変化が、生後の脳肥大や自閉症行動の引き金になりうるのかを検証したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの結果について検証を進めることで、局所脳肥大型自閉症モデルマウスにおいて胎生早期の脳局所モルフォジェン応答の破綻が引き起こされているという新たな結果を得た。この胎生早期の異常が、生後の脳局所肥大や行動変容に関与していることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
胎生早期の神経幹細胞においてモルフォジェンのバランスを強制的に操作する実験を行う。モルフォジェンバランスを操作したマウスが、生後において脳肥大や行動変容を引き起こすのかを検討する。これにより、自閉症関連の表現型の引き金となる初期メカニズムを明らかにしたい。
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