研究課題/領域番号 |
21K06398
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
中村 行宏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40460696)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | シナプス前終末 / カルシウムチャネル / 神経伝達物質 / 平行線維 / カルシウム / シナプス伝達 / Held萼状シナプス / カルシウムイメージング |
研究開始時の研究の概要 |
シナプス前終末における細胞内Ca濃度の上昇は、通常活動電位によって活性化した電位依存性Caチャネルを介したCa流入によって生じ、神経伝達物質の開口放出を誘導する。しかし申請者はこれまでのCaイメージング実験の過程で、脳幹のHeld萼状シナプスの巨大前終末では、活動電位の発生とは同期しないCa濃度の上昇がしばしば起きることに偶然気付いた。Ca sparkと名付けたこの現象は、伝達物質の放出とも無関係のようであり、その発生のしくみや機能は分かっていない。本研究ではCa sparkの発生機序や生理学的意義を解明し、中枢神経シナプス前終末における新しいCa制御機構についての知見を得る。
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研究実績の概要 |
シナプス前終末において、活動電位非依存的に発生する一過性のCa上昇を‘Ca spark’と呼ぶ。2021-22年度は脳幹聴覚伝導路上の巨大シナプスのヘルド萼状シナプス終末端におけるCa sparkの性質を調べ、Ca parkは主にシナプス前終末の枝分かれして膨大した先端部(swellings)で発生すること、発生には電位依存性Caチャネル以外のメカニズムが関わることを明らかにした。研究計画加速のため2023年度は遺伝的蛍光CaセンサーGCaMP6sをヘルド萼状シナプス前終末に発現した動物を用いるを予定だったが、共同研究先のトラブルにより動物系統作製に遅れが生じたため研究機関全体を1年延長するとともに、中枢神経系の他のシナプス前終末でもCa spark同様の現象が見られるか検討した。マウスの急性スライス標本を作製し小脳顆粒細胞へCa感受性蛍光色素を導入し、平行線維boutonにおいて共焦点顕微鏡観察によるCaイメージングを行った。しかし活動電位非依存的なCa上昇は認められなかった。海馬苔状線維で引き続き検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同研究先において脳幹のヘルド萼状シナプス終末端特異的にCaセンサ-GCaMP6sを発現したマウス系統を作製したが、動物施設のトラブル等により2022年度中の予定が2023年末までずれ込んだ。このためヘルド萼状シナプスの実験は一時的に中断し、小脳平行線維boutonで同じような現象が確認されるか観測を試みた。生後3週齢のマウスから作製した小脳急性スライス標本で顆粒細胞にホールセルパッチ電極からCa感受性蛍光プローブCalbryte-520を導入し、プローブが平行線維まで十分侵入するのを待ってから共焦点顕微鏡にてCa測光を行った。顆粒細胞にパッチ電極から電流注入によって活動電位発火を誘発した場合は平行線維boutonでCa濃度の一過性上昇が観察されたが、発火がなかった場合には長時間の記録中においても顕著なCa濃度の上昇は観察されなかった。これが測光の感度や色素の感受性など技術的な原因であるかどうかはさらなる検討を要する。
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今後の研究の推進方策 |
小脳平行線維boutonではCa sparkは検出されなかったため、脳幹のヘルド萼状シナプス終末端に戻って研究を続行する。脳幹のヘルド萼状シナプス終末端特異的GCaMP6s発現マウスを導入繁殖後、当初の計画を続行する。
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