研究課題/領域番号 |
21K06406
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
宝田 美佳 金沢大学, 医学系, 助教 (40565412)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脳梗塞 / 血管 / 虚血 / conditional knockout / ストレス応答 / 脳虚血 / MCAO / 梗塞巣 / VEGF |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞病態における血管機能の理解は、機能障害の軽減や回復を指向する上で極めて重要である。脳虚血後の血管新生は機能回復との関連が示唆されるがその制御メカニズムは未だ不明な点が多い。脳梗塞後には組織環境は刻々と変化するため、血管新生における多細胞間の相互作用や、局所だけでなく全体像での血管機能変化を捉えることが必要となる。本研究では、血管可視化マウスを用いて脳梗塞後の血管の時空間変化を捉え、時期・部位に特徴的な血管の機能を探索し、脳梗塞病態の改善につながる分子機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
脳は全身の血流の15%と酸素消費量の20%を占め、脳梗塞をはじめとした脳障害において血管機能を理解することは、障害の回復を指向する上で極めて重要である。本研究では、脳梗塞後の時空間的な血管の変化を捉え、時期・部位に特徴的な血管の機能を探索し、脳梗塞病態の改善につながる分子機構の解明を目指すものである。これまでに、血管新生に重要なシグナル分子の受容体を発現する細胞を蛍光蛋白質でラベルできるマウスを用いて、当該受容体を発現する既存の細胞と異なる細胞集団が、梗塞領域に新たに出現することを組織学的解析から見出している。本年度の解析では、当該細胞の起源と機能的意義、細胞集団の出現を制御するメカニズムの解析を主として進めた。梗塞領域に認められる虚血誘導性細胞は、アストロサイトのストレス応答分子の欠損により細胞数が増加することを見出した。虚血誘導性細胞集団の起源を明らかにするために、複数の細胞種についての細胞特異的Cre driverマウスとCre活性下でreporterを発現するマウスを交配しfate mapping解析を開始した。並行してこれらCre driverマウスと当該受容体floxマウスの交配によるconditional knockout、および領域特異的なconditional knockoutの解析を開始した。その結果、当該受容体が組織リモデリングの制御に寄与する可能性を見出した。single cell RNA-sequence解析の下準備として、虚血誘導性細胞集団をはじめとした複数の細胞集団をFACSにより単離し、qPCRにより細胞集団が正しく分離されていることを確認した。解析に必要な細胞数が確保できる細胞単離条件を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、これまでの組織学的解析により見出した虚血誘導型の細胞集団について、細胞起源の解析と、細胞集団を制御する分子機構の解析を進めた。また、機能的意義を明らかにするために、当該受容体のconditional knockoutマウスの解析を開始し、同シグナルが組織リモデリングに寄与する可能性を見出した。計画していた課題を順調に達成できているため、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度に行った細胞種特異的および領域特異的な遺伝子欠損マウスの解析について、発現分子の変化と行動解析をさらに進めることで、当該分子の機能的意義とその分子機構の詳細を明らかにする。脳梗塞後の組織構造変化や種々のシグナルの変化の全体像をとらえるために、各種reporterを発現するマウスを用いて透明化を行い、虚血応答を全脳レベルで解析する。また、single cell RNA sequence解析により一細胞レベルでの虚血と非虚血条件における遺伝子発現情報を取得し、細胞のクラスタリングや疑似系譜追跡、各細胞種の高発現遺伝子やシグナル経路の抽出を行う予定である。これらの解析により脳虚血後の多細胞間のシグナル伝達の解明を目指す。
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