研究課題/領域番号 |
21K06416
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
|
研究機関 | 東北大学 (2022-2023) 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター (2021) |
研究代表者 |
有村 奈利子 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (20420375)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 小脳 / シナプス / DSCAM / GLAST / グルタミン酸トランスポーター / 発生期 / Dscam / シナプス形成 / 小脳シナプス |
研究開始時の研究の概要 |
グルタミン酸トランスポーターは、グルタミン酸の細胞外濃度上昇を感知して細胞内に取り込み、細胞外グルタミン酸を適切な濃度に保つ機能を有する。シナプスにおけるグルタミン酸トランスポーターの障害は、統合失調症、自閉症、うつ症、てんかんなどの様々な精神・神経疾患に関与することが報告されている。しかし、グリア細胞のグルタミン酸トランスポーターが、どのようにしてシナプス間隙周辺へ局在するのかは不明であった。本研究では、神経細胞の膜分子DSCAMが、シナプスを包埋しているグリア細胞の膜分子GLASTと相互作用することでシナプス間隙近くに局在化させるという新しい分子機構を提案することである。
|
研究成果の概要 |
グルタミン酸は主要な神経伝達物質である。過剰なグルタミン酸は神経細胞死を引き起こしうるため、シナプス間隙のグルタミン酸濃度はグルタミン酸トランスポーターにより厳密に制御される必要がある。我々は、グリア細胞で発現しているグルタミン酸トランスポーター(GLAST)のシナプス間隙への局在が、神経細胞の細胞接着因子DSCAMにより制御されることを見出した。興味深いことに、Dscam機能欠損マウスでは、GLAST欠損マウスと同様に、登上線維のシナプスの形成障害がみられた。さらに、DSCAMはGLASTと相互作用し、シナプス間隙のグルタミン酸除去を制御することで、シナプス形成を促進することを明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
GLAST研究については、脳機能におけるGLASTの重要性は国内外で数多く報告されている。しかし、そのシナプス間隙への局在機構については不明であり、本研究はこのミッシングリングを与える研究として位置付けられる。さらに重要なことに、シナプス形成におけるDSCAMの機能は、プレ、ポストシナプス間でのDSCAM同士のホモフィリック結合による接着安定化が重要であるとされてきた。しかし本研究課題により、DSCAMのシナプスにおける機能は、実は「グリア細胞のグルタミン酸トランスポーターを介して正常なグルタミン酸濃度を維持すること」であり、この機能を介して「シナプス形成を促進する」ことが明らかとなった。
|