研究課題/領域番号 |
21K06429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
江頭 良明 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (80582410)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 分子クラウディング / 神経筋接合部 / ゼブラフィッシュ / シナプス伝達 / ライブイメージング / シナプス / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
神経機能の基礎をなすシナプス伝達は、シナプス終末という微小空間で多数の分子が密に関わりあう一連の反応により生じる。近年、細胞内でタンパク質などの高分子が混みあって存在する状態(分子クラウディング)が、個々の生体分子の機能に重要であることが明らかになってきた。特にシナプス終末では、シナプス機能に分子クラウディングの果たす役割が注目されている。しかし、分子クラウディングとシナプス伝達の関係を評価する研究は依然手が付けられていない。本研究では、イメージング技術を駆使して、シナプス終末での分子クラウディングの動的変化を明らかにするとともに、シナプス伝達に対するその生理的役割を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
神経機能の基礎をなすシナプス伝達は、シナプス終末という微小空間で多数の分子が密に関わりあう一連の反応により生じる。近年、細胞内でタンパク質などの高分子が混みあって存在する状態(分子クラウディング)が、個々の生体分子の機能に重要であることが明らかになってきた。特にシナプス終末では、相分離を起こすタンパク質が液滴状の構造体(非膜性オルガネラ)を形成し、内部に高密度のタンパク質複合体を集積していることが示されたことで、シナプス機能に分子クラウディングの果たす役割が注目されている。しかし、分子クラウディングとシナプス伝達の関係を評価する研究は依然手が付けられていない。そこで本研究では、イメージング技術を駆使して、シナプス終末での分子クラウディングの動的変化を明らかにするとともに、シナプス伝達に対するその生理的役割を解明することを目指す。 標本として、遺伝的操作が容易であり、かつ生理的環境でのライブイメージングに適したゼブラフィッシュ仔魚の神経筋接合部を用いた。初年度(令和3年度)は、分子クラウディングとシナプス伝達の両方をイメージングするために、運動ニューロンの細胞質に分子クラウディングセンサーとなるFRETプローブを、シナプス終末のシナプス小胞内にpH感受性の赤色蛍光タンパク質を発現したトランスジェニックゼブラフィッシュを作成しライブイージングを行った。予備実験の結果から、シナプス終末の分子クラウディングと融合するシナプス小胞の量の間に負の相関があることが示唆されたが、赤色pHセンサーの実用性に問題があることが判明したため、今年度は、それをHaloTagに置換したTgフィッシュを新たに作成し、再度検討した。これまでに、逆に両者には正の相関があることが示唆されている。この結果は、シナプス前部の分子クラウディングが神経伝達に影響している可能性を示すが、今後さらに詳細な検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年の夏に研究代表者が新型コロナウイルス感染症に罹患し、その後コロナ後遺症と思われる長期的な体調不良を患い、2023年の年始から約半年間の休職・療養を余儀なくされたため、2023年度はほとんど研究を進展させることができなかった。そのため、補助事業期間を一年延長し、2024年度に予定の事業を行うこととした。したがって、2023年度の研究実績報告内容はその前年のものとほぼ同等となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度新たに作成したトランスジェニックゼブラフィッシュは、運動神経細胞質に分子クラウディングのFRETプローブを発現するとともに、運動神経終末のシナプス小胞内にHaloTagを発現している。この魚に対し、神経発火時に膜非透過性のHaloTagリガンド蛍光色素によるラベリングを行い、さらにその後で膜透過性のhaloTagリガンド蛍光色素によるラベリングを追加することで、様々な刺激条件下での全シナプス小胞における利用可能なシナプス小胞の割合を定量することが可能である。その割合とシナプス前終末の分子クラウディングの間に相関がないかを厳密に検証する予定である。神経細胞の刺激条件としては、高濃度カリウム溶液やチャネルロドプシンを利用した光刺激を想定している。このオプトジェネティクス実験に必要なトランスジェニックゼブラフィッシュはすでに作成が完了している。 さらに、HaloTagをpH感受性の蛍光色素でラベルすることも可能である(Egashira et al., 2022 J Neurosci)。そのライブイメージングを行うことによっても、シナプス伝達と細胞質の分子クラウディングの間に相関があるかどうか、またその結果が上記の実験結果と一致するかどうかを検証することを予定している。また同時に、神経刺激時のライブイメージングはプレシナプスの分子クラウディングが神経活動に伴って変化するかどうかを検証することにもなる。
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