研究課題/領域番号 |
21K06457
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
山口 深雪 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (70548932)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 合成 / 複素環化合物 / 触媒 / 位置選択性 / 配位子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、様々な多置換複素管環化合物の効率的合成に役立つと期待される新規位置選択的触媒反応の開発と、それらを活用した多置換複素環化合物群の効率的合成を行う。 従来の基質による位置選択性制御に代えて、金属触媒とともに用いる配位子により位置選択性を制御する。配位子の使い分けにより、複数の反応点を持つ基質において位置選択的に反応を進行させ、インドレニンや2H-ピロールなど合成例の少ない骨格を含む様々な置換化合物を得る。 さらにそれらを変換し様々な多置換化合物を合成する。 本研究により、従来困難だった位置での選択的反応が実現し、多様な構造および置換パターンを有する化合物群の迅速かつ効率的合成が可能となる。
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研究実績の概要 |
2022年度は、様々な多置換複素環化合物の効率的合成に役立つと期待される、新規位置選択的触媒反応の開発と、それらの反応を活用した多置換複素環化合物群の効率的合成について検討を行った。従来行われてきた基質による位置選択性制御に代えて、パラジウム触媒とともに用いる配位子により位置選択性を制御することを特徴とする反応の開発を行った。配位子の使い分けにより、複数の反応点を持つ基質において位置選択的にアリール化を進行させ、ピリドインドリンや2H-ピロール、3H-ピロールなどの合成例の少ない骨格を含む様々な置換複素環化合物を得ることを目指した。 まず、2,5-二置換ピロールの位置選択的アリール化で得られた2,2,5-トリアリール2H-ピロールを変換し、今までに合成例のない2,2,5,5-テトラアリールピロリジン類を始めとする様々な多置換含窒素五員環化合物を得た。 また、無置換1H-ピロールの位置選択的アリール化についても検討した、その結果、適切な配位子を選択することで、ピロールのC2位あるいはC3位で優先的にモノアリール化が進行することを明らかにした。加えて、反応のスケールアップについても検討し、これまで封管中で行う必要があったC2位アリール化を一般的なフラスコを用いて行える条件を見出した。 さらに、トリプタミン誘導体の脱芳香族的C3位選択的アリール化と分子内環化によるピロロインドリンのワンポット合成について検討した。その結果、適切な保護基を用いることでアリール化及び分子内環化が連続して一気に進行し、目的物であるピロロインドリンが中程度から高い収率で得られた。また、保護基の脱保護についてもより詳細に検討し、効率よく脱保護できる条件を見出した。これらのピロロインドリン合成で得られた知見をもとに、ホモトリプタミンを基質として用いるピリドインドリン合成へと展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2,5-二置換ピロールの位置選択的アリール化による2,2,5-三置換2H-ピロール類および2,3,5-三置換1H-ピロール類の合成と、得られた2,2,5-トリアリール2H-ピロールの変換による多置換ピロリン類および多置換ピロリジン類の合成について、昨年度までに得られた成果をもとに論文を発表した。 また、無置換1H-ピロールの位置選択的アリール化については、パラジウムと共に用いる配位子により位置選択性が大きく変化することを見出した。C2位選択的アリール化について、反応条件の最適化と基質適応範囲の検討を行い、様々なクロロアレーンやアリールノナフラートを用いることで様々な2-アリール1H-ピロールを得た。この結果をもとにさらに非対称な2,5-二置換ピロール合成について検討を重ねている。一方、C3位選択的アリール化においては反応における添加剤や溶媒の効果が反応性や位置選択性に大きな影響を与えることを見出した。しかし、C3位選択性をさらに向上させるために、今後さらに反応条件の検討を行う必要があると考えている。 また、トリプタミン誘導体のC3位選択的アリール化/分子内環化によるC3a位がアリール化されたピロロインドリンの合成については、反応条件の最適化を行い、目的のピロロインドリンの収率を向上させることができた。さらに基質一般性についても検討した。また、保護基の除去についても検討し、効率よく脱保護できる条件を見出した。さらに、トリプタミンに代えて側鎖に3-アミノプロピル基を持つホモトリプタミンを用いてC4a位にアリール基をもつピリドインドリン合成を行った。その結果、中程度から良好な収率で目的物を得ることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) C3位側鎖にアミノアルキル基をもつインドール誘導体のC3位選択的アリール化/分子内環化によるピロロインドリン類/ピリドインドリン類の合成:様々なトリプタミン誘導体およびホモトリプタミン誘導体を用いて、多様なピロロインドリン類/ピリドインドリン類を合成する。また、様々なアリール化剤を用いた合成についても同様に行う。これにより、様々なC3a位にアリール基を持つピロロインドリンおよびC4a位にアリール基を持つピリドインドリン類の合成法の確立を目指す。 さらに、側鎖にヒドロキシアルキル基をもつトリプトフォールを始めとするアミノ基以外の求核基をもつインドール誘導体を用いた反応に取り組む予定である。 (2)様々な1H-ピロール類のC3位選択的直接アリール化:2,5-二置換1H-ピロールの位置選択的アリール化で得た知見を基に、引き続きC2位あるいはC3位での選択的アリール化について検討を行う。 無置換1H-ピロールのC3位選択的直接アリール化については、さらに添加剤などの反応条件を検討する。そして見出された最適条件を用い、様々なアリール化剤を用いて種々の3-アリール-1H-ピロール類を合成する。また、大スケール合成についても検討する。無置換1H-ピロールC2位選択的アリール化得られた知見をもとに、2-アリール-1H-ピロール類のC5位アリール化による非対称な2,5-ジアリール1H-ピロールの合成を行い、これまで合成が容易ではなかった非対称な2,5-ジアリール1H-ピロールを効率良く得る手法を確立する。 また、3,4-二置換1H-ピロールのC3位アリール化による3,3,4-三置換3H-ピロール合成、2,3,5-三置換1H-ピロールのC2位アリール化による2,2,3,5-四置換2H-ピロール合成などにも取り組み、これまでに合成例がほとんどない骨格の新規構築法の開発を目指す。
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