研究課題/領域番号 |
21K06465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
上田 昌史 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00340935)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ヘテロ環合成 / 金触媒 / 連続反応 / ヒドラゾン / トリアゾール / インドール / ヨウ化水素 / ヘテロ環 / 遷移金属触媒 / 環拡大反応 |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢化社会に起因する医療費の高騰及び医療経済の切迫を勘案すると、低コストで大量生産可能な革新的低分子医薬品の創出は急務である。そこで、新規低分子医薬品候補化合物の創出を目指し、ファーマコフォアとなり得るヘテロ環化合物の原子効率の高い新規構築法を確立する。すなわち、触媒を用いて、原子効率の高い閉環、環化異性化、転位、および環拡大反応を融合させた新規ドミノ型反応を開発し、様々な様式の環状化合物を合成する。
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研究実績の概要 |
令和3年度は三員環の開環を利用するインドール骨格の構築反応の開発に成功したので、令和4年度は五員環および六員環の開環を経由するヘテロ環合成を検討した。特に、プロピオールアミド誘導体を合成素子とするヘテロ環構築反応の開発研究を実施した。 まず、ピペリジン環を有するプロピオールアミドに触媒としてヨウ化金を加熱下で作用させると、閉環反応、開環反応、転位反応および閉環反応が連続的に進行し、環拡大したN-N縮環構造をもつピラゾロジアゼピン骨格を容易に合成できることを見出した。本反応の特徴は、簡便な操作で原子効率の高い環拡大反応が進行し、七員環構造をもつ縮環型ジアゼピン化合物群を合成できることである。 次に、イソオキサゾリジン環をもつ環状N-アルコキシプロピオールアミドの分子内環化反応と、それに続く開環と置換基導入(アリール化)を一挙に行う連続反応の開発研究を実施した。種々検討の結果、アリール化剤としてアリールボロン酸、触媒としてPPh3AuNTf2、酸化剤としてselectfluor、溶媒としてDMF および少量の水を用いると、期待した連続反応が円滑に進行し、すべての位置に置換基を有する3-(2H)-イソオキサゾロンが収率良く合成できることをを見出した。本反応は様々なアリール基を導入することが可能であり、反応性の高いケトカルボニル基やヨード基をもつアリールボロン酸も利用できることから、優れた官能基許容性を有していることが明らかになった。また、実験化学的なデータと量子化学計算を組み合わせることで、反応経路を導き出すことにも成功した。さらに、本反応で得られたイソオキサゾロンの官能基変換を行い、特徴的な蛍光特性をもつ四環性ヘテロ環への誘導にも成功した。 以上のように、令和4年度は、基質のもつ環構造の開環と閉環を連続的に引き起こすことで、環骨格を組み替える新規反応の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題遂行中に見出した連続するヘテロ原子の特異な反応性を利用する連続反応に関する研究が飛躍的に進展し、ヘテロ環骨格の組み換え反応を基盤として、新規反応および新規ヘテロ環骨格の構築法の開発に成功した。当初予定していた研究よりも、基質の合成の容易さや官能基許容性、汎用性などが優れており、社会的な波及効果もより大きな研究となっている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画にしたがって、シクロプロパン環の環拡大を基盤としたピラゾール環の合成法の開発研究を実施する。また、アジリジン環の環拡大反応にも展開する。さらに、令和4年度の研究において、環状アミンを有するプロピオールアミドの触媒による閉環反応によってスピロ構造をもつ第四級アンモニウム中間体が生成することを見出した。そこで、この新規スピロアンモニウム中間体の反応性に着目し、窒素-窒素結合の開裂とC-H挿入を鍵とするピリミジノン環の合成を検討する。
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