研究課題/領域番号 |
21K06471
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
原田 慎吾 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (50722691)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | カルベン / 触媒 / 金属触媒 / 金属 / 合成 / 反応開発 / 密度汎関数法 / 合成展開 |
研究開始時の研究の概要 |
複雑な化学構造を有する生物活性分子の合成法開発は、創薬の観点で社会的ニーズが高く、特に重要な研究課題である。申請者は金属カルベン種の反応特性に着目した合成展開を行なってきた。金属カルベンとは、中性二配位のカルベンと金属原子が二重結合を形成した化学種である。同化学種は、対応するジアゾ化合物から系中発生させる手法が一般に用いられるが、ジアゾ化合物は潜在的な爆発性を有する。本研究ではジアゾ化合物を用いずに多様な金属カルベン反応を開発して、創薬科学分野への貢献を目的とする。申請者は金属種に依存する選択性発現機構の解明と合成化学的応用を目指し、系統的な研究を推進する事で未踏金属カルベン化学を開拓する。
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研究実績の概要 |
金属カルベン種は、金属原子とカルベン炭素が形式的に二重結合を形成した化学種である。同炭素化学種は、多様な反応性を示し、その反応性はカルベン炭素が配位する金属元素種に大きく依存する。しかしその金属特性は解明されておらず、その特性を生かした合成化学的な応用はほとんど報告されていなかった。当研究室では銀カルベンが汎用されるロジウムカルベンや銅カルベン、パラジウムカルベンとは異なる反応性を示す事を明らかにした。金属カルベン種は、対応するジアゾ化合物から系中発生させる手法が最も一般的である。しかし当該官能基は、潜在的な爆発性が危惧されたり、基質への導入にステップ数を要したりする点に改善の余地を残していた。申請者は以上の背景を鑑み、ジアゾフリーな銀カルベン発生法の開発と合成化学的な応用研究を目指し、研究を行った。包括的な検討の結果、イナミドに銀触媒及び酸化剤を作用させたところ、金属カルベン反応に特徴的な生成物を光学活性体として得ることに成功した。また反応系中にベンザイン種を発生させると[4+2]-環化付加反応が立体特異的に進行することを見出した。一方でニトロソ化合物を作用させると、形式的な[6+2]-環化付加反応が進行することがわかった。密度汎関数法に基づく理論計算を用いて、銀カルベン発生プロセスや連続的な環化付加反応の解明に取り組んだ。ベンザインを用いた場合では、環状共役系化合物の原子価異性体として熱力学的に不利なノルカラジエンと反応していることがわかった。またニトロソ化合物の反応では、シクロヘキタトリエンと段階的な結合形成を経て生成していることがわかった。現在は基質適応性の拡張と更なる反応機構解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジアゾフリーな銀カルベン発生法とその合成化学的応用に成功した。またDFT計算による反応メカニズム解析を行った。さらに新規反応も見つかり、現在は反応条件の最適化中である。以上を踏まえ、本研究はおおむね順調に進展していると言うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ジアゾフリーな金属カルベン発生法の開発と物質合成への応用を行う。具体的には、ナフチル基とカルベン種の反応により、高い環歪みエネルギーを内包する縮環式シクロプロパンを合成する。またインドール類やその他のヘテロアレーンと反応させ、様々な脱芳香族化反応も検討する。他の金属種と配位子も系統的に検討して、不斉合成を目指す。またシクロプロペン化反応やC-H挿入反応は、金属カルベン種を用いないと実現困難な反応である。それらを中心に申請者は系統的に検討を行い、反応剤の特徴を活用した分子変換法を開発する。また未利用天然物であるDihydrodidymeline、Holadienineの全合成を目指す。これらは1987年、マダガスカル島のディディメレス科の植物より単離・構造決定されたが、全合成は達成されておらず生物活性試験も行われていない。申請者は、カルベン種による脱芳香族化で生じるエノラートの連続型1,4-付加反応により、三環性コア骨格を一挙構築して、当該分子群を網羅的に合成する。またナフトール類に対する脱芳香族化を適用することで、画一的な方法論によりヒスタミンH3受容体阻害薬とその誘導体を分岐的に合成する。そして、取得した化合物の生物活性評価を共同研究で行い、創薬科学展開を目指す。
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