研究課題/領域番号 |
21K06478
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
小西 英之 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (20565618)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 気体分子 / 等価体 / 一酸化炭素 / 二酸化硫黄 / 窒素酸化物 / 安全 / 実用的 / 触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
気体分子等価体から化学反応により生じる気体分子を「存在量の時間制御が可能な単純構造の合成素子」として活用し、創薬探索研究等において安全で利用しやすく応用可能性の高い新規触媒的有機合成手法の開発を行う。気体分子等価体を用いるカルボニル基や酸化段階の異なる硫黄原子および窒素原子の選択的導入反応の開発を目指すとともに、創薬探索研究や機能性分子開発に有用な気体分子等価体の学術的新規性と応用的利用の潜在性を顕示する。
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研究実績の概要 |
気体分子等価体から化学反応により生じる気体分子を「存在量の時間制御が可能な合成素子」として活用することを目指し、以下の新規反応開発に取り組んだ。 一酸化炭素(CO)の等価体を用いる開放系カルボニル化反応の開発について、CO生成反応が律速段階となる反応条件において反応中間体の解析や反応の計算化学的解析を行ったところ、ある種の付加体の生成が確認された。また、この付加体を生じる反応が律速段階の前で原料との平衡反応であること、この平衡反応の存在がCO生成速度の低下に効果的に寄与することを見出した。 CO等価体を用いる非対称ケトン合成法の開発について、収率向上を目指してラジカル前駆体の検討を行ったところ、昨年度までに見いだしていたものとは異なる構造を持つ前駆体を見出すことができた。反応の再現性は良好だが、収率改善効果は予想よりも低かった。 二酸化硫黄(SO2)の等価体を用いる対称スルフィド合成法の開発において、反応機構について有益な知見を得た上で論文発表を行うことができた。また、これまでとは全く異なる触媒反応系を見出すことにより、本反応を選択的非対称スルフィド合成法に発展することができた。従来法はチオールまたはジスルフィド、単体の硫黄を硫黄源とするため、原料の安定性や悪臭、副生成物の生成が問題となるが、本反応はSO2等価体から生成するSO2が低原子価の硫黄原子源となる新規性および実用性の極めて高い反応である。本反応については反応機構に関する知見も多く得られており、近く論文発表を行う予定である。 新規に開始した窒素酸化物等価体の化学について、NO部位の導入に有望な窒素酸化物等価体の設計および合成を行い、実際にある種のラジカル前駆体と反応させたときに低収率ながら等価体由来のNO部位が導入された化合物を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画のうち、SO2等価帯を用いて酸化段階のことなる硫黄原子の導入法の開発を達成することができた。その他の計画においても計画実現に向けて有益な知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
開放系カルボニル化反応について、律速前平衡反応により生じる付加体の詳細な構造解析や、反応経路についての計算化学的検討を行い、この平衡反応の存在が開放系カルボニル化反応の実現によい影響を与える理由を探る。非対称ケトン合成反応について、さらなる反応条件最適化および光反応条件における反応開発を行う。二酸化硫黄等価体を用いる非対称スルフィド合成反応について、反応機構に関する検討を実験・理論の両面から行う。また、次なる目標として、二酸化硫黄等価体を用いて未だ実現していないスルホキシド合成法の開発を行う。窒素酸化物等価体を用いる新規反応については、より効率よく窒素酸化物を生成できる等価体の開発と、分子にニトロソ基またはオキシム部位を導入する新規反応の開発の双方を行う。
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