研究課題/領域番号 |
21K06479
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
江上 寛通 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (50553848)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | フッ素 / 相間移動触媒 / 不斉反応 / C-H変換 / 触媒 / C-H官能基化 |
研究開始時の研究の概要 |
生命科学研究において非常に関心の高い原子であるフッ素を有機分子に導入する方法として、未だ困難な課題である不斉C-Hフッ素化反応を開発することを本研究の目的とする。本研究では、最近我々が独自に開発したキラル相間移動触媒により構築される反応場にて、遷移金属触媒とキラルアニオンによるC-H結合切断を行い、フッ素化の立体化学制御の実現を目指す。特に金属触媒およびキラル相間移動触媒に相互作用できる基質としてアミド類を中心に検討する計画である。
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研究実績の概要 |
数多くの医薬品や農薬にフッ素が含まれていることからも分かる通り、分子にフッ素を導入することは生命科学分野において重要な戦略である。特に生体内がキラルな環境にあることから、生物活性分子の合成には精密な立体制御が求められる。その観点から我々は独自のキラルなジカルボキシラート型相間移動触媒を開発し、これまでアルケン類の不斉フッ素化反応や電子豊富な芳香環の脱芳香環化型フッ素化反応を開発してきた。一方で、C-H結合を直接フッ素に変換することができれば原子効率やステップエコノミーの観点から有意義であると考えられるが、その不斉化の一般的な方法論は確立されていない。そこで本研究では、我々の相間移動触媒の化学と遷移金属触媒の化学を組み合わせ、キラルジカルボキシラート触媒を多機能化することで、この未解決課題に取り組むこととした。 本年度は研究計画に従い、キラルジカルボン酸誘導体の合成法を確立し、合成した種々の新規キラルジカルボン酸を用いたC-Hフッ素化に関する検討を行った。その過程で当初目論んでいた置換基効果よりも有機塩基などの添加剤による反応加速効果が顕著であることを見出した。そこで、有機塩基を持つキラルカルボン酸を新たにデザインし、その合成法を確立した。キノリンアミド部位を持つ基質のC-Hフッ素化において、新規キラルカルボン酸を用いることで予期した通りに目的のフッ素化体の収率が大幅に改善した。現在、キラルカルボン酸の誘導体合成とフッ素化のための最適化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画に従い新たなキラルジカルボン酸誘導体の合成とそれを用いた検討を実施した。満足いくエナンチオ選択性の発現には至ってないものの、キラルジカルボン酸を用いた条件検討の結果から、新たなキラルカルボン酸のデザインを着想し、その合成法の確立とフッ素化の初期検討により、反応効率の改善に至った。そのため、「おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
新たに設計したキラルカルボン酸の誘導体を合成し、反応効率および不斉収率に対する置換基効果を検討する。キラルカルボン酸の構造をブラッシュアップすることで、C-Hフッ素化に至適なキラルカウンターイオンを導出する。基質にはこれまで用いてきたキノリンアミドを持つものを基本的に用いるが、反応効率が大きく改善されたことから、単純アミドなどのより一般的な基質についても検討する。一方で当初の狙いであったSelectfluorの相間移動触媒としての機能も同時に検証し、触媒の多機能性についても明らかとする。以上により、不斉C-Hフッ素化の一般性の高い触媒系の基盤構築を目指す。
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