研究課題/領域番号 |
21K06480
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
久松 洋介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (80587270)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ヘム / 4-アミノキノリン / 蛍光プローブ / ホストゲスト化学 / 分子認識 / 人工レセプター / 蛍光 / 自己集合 / 超分子化学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生体内で重要な役割を担うヘムを水中で高選択的に認識する実用的な人工ヘムレセプターの開発に取り組む。まず、ヘム認識能を有する4-アミノキノリン部位とヘム鉄に対する配位結合部位を適切な位置に導入することでヘム高選択的な認識能を発揮する新規人工レセプターを設計・合成する。次に、人工レセプターに蛍光応答性と細胞膜透過性を付与することで細胞内ヘムの可視化を実現し、ヘムが関与する生命現象や疾患の分子レベルでの解明に貢献するツールへと発展させる。
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研究実績の概要 |
水中でヘムと高選択的に複合体形成し蛍光応答する人工レセプターの開発は、ヘムが関連する生命現象解明の有用なツールとして期待されている。これまでにヘム結合能を有する4-アミノキノリン部位からなるピンセット型人工レセプターを開発したが、水中でのヘム選択性を改善する必要があった。昨年度までに、ヘム鉄に対する配位結合部位としてイミダゾール基を適切な位置に導入することで人工ヘムレセプターのヘム選択性改善を示唆する結果を得た。 本年度は、配位結合部位を有する4-アミノキノリン型人工レセプターがヘムとの複合体形成時に自己集合する性質を制御するために、人工レセプターの水溶性向上に取り組んだ。具体的には、配位結合部位と4-アミノキノリン部位をつなぐリンカー部位に分岐型オリゴエチレングリコールを導入することで、人工レセプターの水溶性が大きく改善されることを期待した。まず、分岐型オリゴエチレングリコールを合成し問題なくリンカー部位に導入できた。次に、分岐型オリゴエチレングリコールを連結したリンカー部位の両端に4-アミノキノリン部位と配位結合部位を導入したが、その精製が難しいという課題が明らかになった。現在、精製方法および合成ルートの改善に取り組んでいる。 一方で、水中で望みの機能を発揮する人工ヘムレセプターの合理的分子設計基盤を構築するためには、様々な4-アミノキノリン誘導体(人工レセプター候補化合物)およびそれらとヘムの複合体が水中で示す集合挙動の理解と制御が重要である。検討の過程で、両親媒性の4-アミノキノリン誘導体が中性の緩衝液中で温度応答性自己集合挙動を示し、加熱温度の違いによってユニークな形態の多孔性ベシクルとナノファイバーを作り分けられることを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、人工ヘムレセプターの水溶性向上を目的として、分岐型オリゴエチレングリコールを導入した新規人工ヘムレセプターの合成に着手したが、合成の最終段階での精製が難しく当初の予定より時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた知見を踏まえて、水溶性を改善した人工ヘムレセプターを効率的に得るための合成ルートの確立を進める。そして、合成した人工レセプターのヘムに対する結合親和性の評価およびヘム選択性評価を実施する。また、4-アミノキノリン部位を有する人工ヘムレセプター候補化合物の水中での自己集合挙動に関する知見を人工レセプターの分子設計につなげる。
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