研究課題/領域番号 |
21K06489
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
河村 伸太郎 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (60732956)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | フルオロアルキル化 / トリフルオロメチル化 / アジリジン / 不斉合成 / ラジカル反応 / フルオロアルキル化反応 / キラルアミン |
研究開始時の研究の概要 |
医薬および農薬の開発において、新規なフルオロアルキル分子の需要が高まっている。炭素骨格へのフルオロアルキル基の導入による動態改善が主な理由として挙げられる。一方、光学活性なアミンは、非常に多くの医薬・農薬に含まれる重要構造である。したがって、フルオロアルキル基を有する光学活性アミン類は、将来の創薬研究において極めて有望である。しかし、その効率的な合成は容易ではなく、特に不斉合成は未だ挑戦的な課題である。本研究では、申請者がこれまでに開発に成功したフルオロアルキル化反応を基盤に、新規な不斉触媒を設計・開発し、フルオロアルキル基を有する多様な光学活性アミン類の効率的合成を可能にする。
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研究実績の概要 |
本研究では、新規医薬や農薬の開発における重要な候補分子である、光学活性なフルオロアルキルアミン類を合成することを最終目的とし、立体選択的な含窒素ヘテロ環の形成を伴う分子内アミノフルオロアルキル化反応の開発を行なっている。本反応はラジカル機構で進行するが、反応性の高いラジカル中間体に対し、立体選択的な触媒的なアミノ化を行う点がチャレンジングである。本年度は、昨年度に引き続き、市販されている光学活性配位子のスクリーニングから検討を開始した。銅触媒アミノトリフルオロメチル化反応をモデルに、多種の配位子の添加を行い、生成物のエナンチオマー比を調査したところ、立体選択性の制御が可能な分子骨格を数種特定することに成功した。特に、70%程度のエナンチオマー比で目的物を与える配位子を見出すことができたことは、大きな進展であった。また、立体制御が可能な配位子の主骨格は類似の部分構造を有しており、新規配位子開発に向けて重要が得られた。本年度は、配位子のスクリーニングに加えて、反応中に生じるラジカル種の反応性 (ラジカルフィリシティ) の詳細や銅触媒および配位子が反応に及ぼす影響について、理論計算による詳細な機構研究もあわせて実施した。特に、配位子は反応経路に大きな影響を及ぼし、配位子上の置換基の電子的効果が生成物の選択性にも影響することが明らかになった。現在、本機構的知見をもとに、特定した配位子の主骨格を有する新規配位子の設計・合成を開始しており、収率および立体選択性の向上を目的とした検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較的良好な立体選択制で目的生成物を得ることに成功しているため。また、触媒構造が反応に及ぼす影響についても知見が集まってきたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの知見をもとに、新規な配位子を設計・合成し、収率ならびに立体選択性の向上を目指す。DFT計算によって推定中間体をモデル化し、より精密な触媒設計を行う。また、添加剤や反応温度などの検討も併せて行う。反応条件が最適化でき次第、基質一般性の検証に移る。
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