研究課題/領域番号 |
21K06491
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
植田 郁生 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50598688)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 残留溶媒 / ガスクロマトグラフィー / 揮発性有機化合物 / 試料前処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では針型の揮発性有機化合物濃縮デバイスを用いて製剤中に含まれる残留溶媒をガスクロマトグラフで分析する新たな分析法を開発する。製剤試料は粉末状にして小型容器に充填し、その容器内に針型デバイスを挿入して気体試料を吸引することで迅速かつ定量的な分析法を達成する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ステンレス針の内部に吸着剤粒子を充填した針型の揮発性有機化合物濃縮デバイスを用いて製剤中の残留溶媒を捕集濃縮してガスクロマトグラフで迅速スクリーニング分析法する方法を開発する。研究1年目の昨年度は、錠剤状試料の粉末化の方法、濃縮デバイスの最適化、および粉末状試料をピペットチップに充填して揮発性有機化合物を捕集濃縮する方法を開発した。 研究2年目である2022年度は、クラス1残留有機溶媒成分を粉末状の製剤試料に添加し、分析法の検出下限および定量下限を求めた。また、製剤に添加したクラス1残留溶媒成分の添加回収率を算出した。 錠剤状の製剤10種類を粉末状として、そこから揮発する揮発性有機化合物を開発した分析法で分析したところ、全ての製剤から微量のエタノールが検出され、一部の製剤からは酢酸も検出された。クラス1残留溶媒成分は検出されなかった。 また、製剤に含まれていたエタノールと、製剤に添加したエタノールの追い出し効率を比較すると、それらの追い出し効率が異なっており、製剤に当初から含まれていた残留溶媒成分は、製剤からの追い出し効率が低いことが明らかとなった。すなわち、製剤中に含まれる残留溶媒の追い出し挙動は製剤ごとに異なっているため、本法を用いて製剤中の残留溶媒を定量分析するためには、一度のサンプリングのみで、製剤中に含まれる残留有機溶媒の量を見積もることが困難である。従って、全ての製剤で同じ回収率が得られる試料の採取方法の検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、製剤ごと、および残留溶媒成分ごとの追い出し効率を定量的に評価することが達成されている。粉末状とした製剤試料から、残留溶媒成分を検出することは十分に達成されているが、定量分析法の構築についてさらなる検討が必要である。現在、試料採取の際に粉末状試料を加温して残留溶媒成分の追い出し効率の向上およびそれによる定量分析を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
粉末状試料からの残留溶媒成分の追い出し効率の向上および、製剤ごとの追い出し効率の均一化に向けた検討を行う。具体的には、粉末状試料の加温および超音波照射等を検討する。 また、粉末状試料を微量の水に溶解させ、針型濃縮デバイスを用いるパージ・トラップ法による、製剤中の残留溶媒成分の定量分析法についても検討する。この方法では、製剤試料が水に溶解するため、製剤ごとによる追い出し効率の違いが無くなり、一回のサンプリングで定量的に残留溶媒成分を定量分析可能となることが期待される。
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