研究課題/領域番号 |
21K06493
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小橋川 敬博 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (90455600)
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研究分担者 |
森岡 弘志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (20230097)
関口 光広 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40822490)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 核内受容体 / CAR / MBP / 補助活性化因子 / 補助抑制因子 / タンパク質間相互作用 / PXR / 抗がん剤耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
核内受容体ファミリータンパク質の一種であるPXR (pregnane x receptor)およびCAR (Constitutive Androstane Receptor)は、様々な薬物に結合することで活性化され、薬物の代謝・排泄に関わるタンパク質群の発現を誘導する。そのため、がん薬物療法に対する耐性に関わる。実際、様々ながんで発現が見られ、PXR拮抗薬が、がんの薬物感受性を向上させることが報告されている。本研究では、構造生物学的手法に基づき、PXRおよびCARの活性制御機構の詳細を解明し、がん薬物療法抵抗性の克服に資する。
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研究実績の概要 |
令和4年度はCARと補助活性化因子および補助抑制因子との結合を直接的に観測する手法の構築を試みた。最初に、蛍光タンパク質を用いた相互作用検出系の構築を試みたが、CARと補助活性化因子および補助抑制因子との相互作用は解離定数が数uM程度の弱い相互作用であり、検出感度の点で不十分であった。そこで、NanoLucを用いた相互作用検出系の構築を試みた。NanoLucは深海性のエビ由来のLuciferaseを改変したものであり、一般に使用されるホタルルシフェラーゼに比べて分子量が小さい、熱安定性が高い、発光にATPを必要としない、活性が高く発光量が多いため高感度で検出可能であるという特徴がある。このNanoLucを2つの断片 (SmBitおよびLgBit) に分割したものがSplit NanoLucである。SmBit-LgBit間の相互作用は弱く、これらの断片を混合しただけではLuciferase活性を示さない。しかし、相互作用し合うタンパク質に融合させることで2つの断片が会合し、ルシフェラーゼ活性を示す。このことを利用することで、目的タンパク質同士の相互作用を化学発光により高感度に検出可能となる。CAR-SmBit融合タンパク質、Lg-Bitと補助活性化因子もしくは補助抑制因子との融合タンパク質を作製し、相互作用解析を試みた。その結果、CARと補助活性化因子もしくは補助抑制因子との相互作用を高感度で検出することに成功した。現在、このシステムを用いて薬物フリー状態、補助活性化因子結合状態、補助抑制因子結合状態のCARと補助活性化因子もしくは補助抑制因子との相互作用解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた蛍光スペクトルや等温滴定熱量測定による相互作用解析だけでは精度、検出感度の点で不十分であることが明らかとなり、分子間相互作用を直 接観測する手法を新たに構築することが必要となったが、Split NanoLucを用いたタンパク質間相互作用検出系の構築について目途が立ったことから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に構築したSpilit NanoLucを用いたCARと補助活性化因子および補助抑制因子との相互作用解析系を用いて、薬物フリー、逆作動薬存在下、作動薬存在下におけるCARと補助活性化因子および補助抑制因子との相互作用解析を進める。また、薬物フリー、逆作動薬存在下、作動薬存在下におけるCARについて、分子動力学解析を進め、リガンド機能によるCARの活性制御機構の詳細を明らかにする。
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