研究課題/領域番号 |
21K06500
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
黒崎 博雅 金城学院大学, 薬学部, 教授 (70234599)
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研究分担者 |
加藤 紘一 湘南医療大学, 薬学部医療薬学科, 講師 (80814821)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 感染症 / β-ラクタム剤 / 阻害剤 / 加水分解酵素 / βーラクタム剤 / 亜鉛酵素 / ラクタム剤 |
研究開始時の研究の概要 |
メタロ-β-ラクタマーゼは「最後の切り札的な存在」であるカルバペネム系β-ラクタム剤をも分解し不活化するZn(II)酵素である。さらにMBLは、セリン-β-ラクタマーゼ阻害剤も全く無効で、臨床で有効なメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤もないという極めて深刻な問題がある。このような現状から、本研究では、申請者らが明らかにしたMBLの結晶構造の原子座標とドッキングシミュレーションを併用し、よりメタロ-β-ラクタマーゼを強く阻害する化合物の分子設計と合成を行うことを目的とした。
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研究実績の概要 |
抗生物質が効かない薬剤耐性菌の問題が深刻化している。薬剤耐性の原因の一つには、細菌内で産生しているβ-ラクタマーゼによるβ-ラタム剤の分解と不活化によるものである。β-ラクタマーゼは大きく2つに分類され、その一つは活性中心にセリン残基をもつセリン-β-ラクタマーゼと、もう一つは活性中心に1個または2個の亜鉛(II)イオンを持つメタロ-β-ラクタマーゼである。セリン-β-ラクタマーゼに対しては臨床で有効な阻害剤が開発され臨床使用されているが、一方のメタロ-β-ラクタマーゼに対する阻害剤については現状では臨床的に有効なものがない。本研究ではメタロ-β-ラクタマーゼを研究対象に、様々なメタロ-β-ラクタマーゼのX線結晶解析から得られた原子座標を基にドッキング実験を併用しながらメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤を開発することを目的としている。 本年度は、2種類のIMP型メタロ-β-ラクタマーゼ(IMP-1とIMP-6)に対する10種類のチオール基を有する化合物の阻害活性を評価した。評価した10種類ω-メルカプトカルボン酸を含む化合物の場合、炭素の伸長により抑制効果が増大した。メルカプト酢酸の50%阻害濃度(IC50)は約2から410μMの範囲内にあることがわかった。メチルまたはエチルエステル化は、抑制効果と選択性はω-メルカプトカルボン酸を有する化合物よりも低いことがわかった。メルカプト酢酸とエチル3-メルカプトプロピオン酸によるIMP-1および IMP-6の阻害様式を明らかにするためにLineweaver-Burkプロットによる解析を行なった。メルカプト酢酸では、両方の酵素を競合的に阻害した。一方、エチル3-メルカプトプロピオン酸ではIMP-1を競合的に阻害したが、IMP-6は非競合的に阻害することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に合成したセファロスポリン中間体に蛍光剤を合成した化合物に加え、さらに2種類のセファロスポリンの誘導体を合成することができた。さらに、アミノ酸配列が1残基だけ異なっているメタロ-β-ラクタマーゼ(IMP-1とIMP-6)の基質特異性の違いを構造学的ならびに酵素学的に明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
令和3と4年で合成したセファロスポリン誘導体のメタロ-β-ラクタマーゼに対する阻害活性ならびに分光学的特性を明らかにしていく予定である。
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