研究課題/領域番号 |
21K06505
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
木下 充弘 近畿大学, 薬学部, 教授 (40330279)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | マイクロチップ電気泳動 / 糖鎖 / 代謝 / 糖タンパク質糖鎖 / 高スループット / レクチン |
研究開始時の研究の概要 |
糖鎖の理解は糖鎖構造解析の困難さゆえ一筋縄ではなく、未だ多くの課題が残っている。糖鎖解析に不足しているスループット性の低さは、パラレル解析が困難であることに起因している。キャピラリー/マイクロチップ電気泳動法は、マルチキャピラリーの使用によりパラレル解析を実現できる唯一の技術であるが、一部の解析例を除き、糖鎖解析法としては活用されていない。本研究は、糖鎖と代謝の関係に踏み込み、加齢や老化に伴う代謝の変動こそ糖鎖に影響を与えうることを明らかにすることに主眼しつつ、同時に糖鎖研究におけるキャピラリー/マイクロチップ電気泳動法の有用性を実証する試金石となる研究でもある。
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研究実績の概要 |
2022年度は研究期間初年度に全自動マイクロチップ電気泳動装置を利用して開発した糖鎖解析システムについて、実利用性の検証として分離場として使用する電極埋め込み型石英製マイクロチップ、APTS標識糖鎖の分離に用いるゲルバッファーについての劣化試験を10か月に渡り実施した。石英製マイクロチップについては、特別な洗浄剤や洗浄工程なく水のみの洗浄でも分離能、電気泳動時間の再現性が保たれていた。また、分離に用いるゲルバッファーについても冷蔵保存のみでも、分析再現性は保持されており、本研究の目的である代謝と糖鎖の関係を明らかにするために必要となる大量試料かつ長期間での実利用レベルにあることを実証できた。これらの性能評価試験に加え、ヒト血清糖タンパク質糖鎖、培養細胞から得られた膜タンパク質由来糖鎖、エクソソーム由来糖鎖の分析への応用試験も実施し、汎用されるキャピラリー電気泳動法と同等レベルの分離能、10倍以上のスループットを達成できることを明らかにした。 2023年度第三四半期からは、各種培養細胞をAMPK活性化/阻害剤、EGF/FGFなど増殖因子など、細胞内代謝を変化させる薬剤存在下培養し、膜タンパク質から調製した糖鎖の分析へと応用し、本研究の最終目的である代謝と糖鎖の関係解明に向け、多検体試料について解析とデータの蓄積を本格化させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は本研究の基盤である全自動マイクロチップ電気泳動装置を利用する糖鎖解析システムについて、実利用についての高い性能を実証でき、種々の代謝変化を伴う各種培養細胞由来の糖鎖の分析へと応用可能性を実証するとともに、本研究の最終目的である代謝と糖鎖の関係解明に向け、多検体試料について解析とデータの蓄積に本格的にスタートすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで開発してきた糖鎖解析システムの実行可能性は実証されたため、本研究の目的である代謝と糖鎖の関係を明らかにするためのバイオ系実験量を増やし、代謝と糖鎖の関係について、従来のLCやMSベースによる解析ではなしえなかった膨大なデータの蓄積とその統計解析を目指す。特に、代謝と糖鎖の関係についてバイオ系研究でこれまでに得られなかった知見を得ることを目指すため、増殖シグナルパスウェイや転写・翻訳制御などの着眼点を用ちながら、例えば、遺伝子発現やタンパク質レベルからは予想が難しい、膜糖タンパク質のターンオーバーにおける糖鎖の微細不均一性変化の影響、がん細胞の運動性、浸潤能における膜糖タンパク質糖鎖の影響についての、既報のモデル系を利用して解析を進めていく。
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