研究課題/領域番号 |
21K06513
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西田 孝洋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20237704)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | コントロールドリリース / 癌化学療法 / DDS / 新規製剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、病巣部位近傍に長期間滞留することで選択的な複数の薬物集積を可能にし、腹腔への薬物漏出も抑制できる多様な機能を有する二層型シート製剤を開発する。癌局所薬物動態と治療効果・副作用を組織透明化の手法を用いて同時に評価する点にも特色を有する。具体的な研究計画は、1) 複数の抗癌薬を封入した二層型シート製剤の作製と皮下担癌マウスでの効果検証、2) 腹腔内担癌モデル動物における本製剤の複数薬物の局所動態と治療効果の評価、3) 本製剤の遺伝子治療薬への応用である。腹腔内臓器表面からの薬物吸収を利用する複数の抗癌薬を搭載した製剤を、臨床応用するための基盤を確立する。
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研究実績の概要 |
腫瘍部位へ直接貼付する二層型シート状のコントロールドリリース製剤の開発に着手してきた。放出制御のため乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)を基剤に使用し、放出性および抗腫瘍効果向上のための製剤添加剤の選出および製剤最適化を行ってきた。最終年度については、製剤添加剤の腹腔側臓器表面からの薬物吸収性をin vitroでの透析膜透過実験による簡便な評価系で精査するとともに、引き続き二層型シート製剤の評価および最適化を実施した。抗癌薬ドキソルビシン(DOX)を搭載し、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)を添加剤として併用した二層型シート製剤を作製し、放出性と担癌マウスでの抗腫瘍効果、体内分布を評価してきた。二層型シート製剤からDOXが持続的に放出され、添加剤の併用によりPLGAのみによるシート製剤より放出速度が向上し、添加剤濃度により放出速度をコントロールできる可能性が示唆された。また皮下担癌マウスの腫瘍へ各種シート製剤を14日間貼付し、腫瘍径と体重を測定したところ、DOXが腫瘍へ選択的に分布し、他臓器や血漿への移行が抑制された。相対腫瘍体積はPLGAシート製剤貼付群と比較して添加剤併用DOXシート製剤貼付群において約4分の1以下となり、顕著に腫瘍増殖が抑制された。特にPEG20%とPVP20%併用時に優れた抗腫瘍効果が発揮された。腹腔側臓器表面からの薬物吸収性をin vitroでの透析膜透過実験で予測可能なことをマウス肝臓表面からの薬物吸収速度との相関により明らかにした。初期放出量や腫瘍へのDOXの浸透性が抗腫瘍効果に大きく影響を与えると考えられる。添加剤の併用により、放出性や組織内濃度を制御し抗腫瘍効果の向上が期待でき、本製剤により全身循環への移行を抑制した局所的な癌化学療法を行える可能性が示された。
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