研究課題/領域番号 |
21K06516
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
近藤 啓 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10825110)
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研究分担者 |
照喜名 孝之 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30784574)
金沢 貴憲 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (60434015)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ナノファイバー / 難溶解性薬物 / 非晶質固体分散体 / 放出制御製剤 / 電界紡糸 / ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル / 放出制御 / レオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、非晶質固体分散体を含み、長期に亘り非晶質状態を維持しつつ薬物放出速度の持続制御を可能とする新規放出制御製剤の技術基盤を確立する。不織布製造技術の電界紡糸法を応用し、ワンステップで、非晶質固体分散体を含む放出制御ナノファイバーを製造することを特徴とする。熱力学的特性に基づいたファイバー中での高分子基剤と薬物との混和性、電界紡糸する高分子基剤溶液のレオロジー特性、調製されるファイバーの三次元表面物性を定量的に捉え、薬物安定性とin vitroでの薬物放出特性との関連性を構築することで、技術基盤を具現化する。また、in vivoでの吸収性評価にて本技術の完成度を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、薬物の非晶質を維持するとともに持続放出を可能とするナノファイバー製剤技術の開発を目的としている。 有機溶媒に難溶性のモデル薬物であるグリセオフルビン(GRF)、放出制御高分子基剤であるポリカプトラクトン(PCL)、さらには、薬物の非晶質を安定化することを狙いとして、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMC-AS)またはSolplusを溶解させ、混合溶液を高圧電界中で紡糸し、一晩真空乾燥させることでナノファイバーシート(NFS)を得た。得られたNFSの物性と、20℃/相対湿度60%の条件にて1週間保存した後のNFS中での薬物の結晶性を粉末X線回折(XRD)にて評価した。また、溶出試験によりNFSからの薬物溶出性についても評価した。 XRD、示差走査熱量分析(DSC)の結果よりHPMC-ASまたはSolplusを含むNFSではいずれも結晶由来のピークは確認されず、調製直後、薬物は非晶質で存在することが示された。一方、GRFとPCLで調製されたNFSでは、DSCにて僅かな吸熱ピークが確認され、一部のGRFが結晶化している可能性が示された。また、赤外スペクトルの分析から、APMC-ASを含むNFS内では、水素結合の関与が示唆された。保存後、HPMC-ASを含むNFSでは薬物の非晶質が維持されたが、他のNFSではGRF結晶由来のピークが確認された。この結果より、HPMC-ASはNFS中でGRFの非晶質安定化作用を有することが示唆された。溶出試験では、HPMC-ASを含むNFSでは、GRFとPCLからなるNFSに比してGRFの溶出率の向上が観察された。HPMCASがGRFの結晶化を抑制したことが要因として考えられる。 以上より、PCLを基剤とするNFSにHPMC-ASを添加することで、難溶性薬物の非晶質を安定化させ、溶出性を長期に亘り持続できる可能性が示された。
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