研究課題/領域番号 |
21K06519
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
宮内 正二 東邦大学, 薬学部, 教授 (30202352)
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研究分担者 |
菊川 峰志 北海道大学, 先端生命科学研究院, 准教授 (20281842)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アルブミン促進取り込み機構 / トランスポーター / 起電性輸送担体 / アルブミン結合解離 / 蛍光相関分光測定 / 滴定型熱量測定 / アルブミン促進肝取り込み / アルブミン解離促進 / 蛍光相関分光測定法 / IVIVE |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、非結合形基質の輸送を高時間分解で測定すること、熱力学的手法および蛍光相関分子法を用いてアルブミンと細胞膜との相互作用を解析することにより、アルブミン介在輸送促進機構の分子メカニズムの実体を解明する。①アルブミンと細胞表面との相互作用による解離した薬物の輸送機構を速度論的に明らかにする。②熱力学的パラメータの変動に基づいて、アルブミンの構造変化によるアルブミンからの薬物-解離促進のメカニズムを解明する。③アルブミンと細胞表面との相互作用による解離促進の可視化とターゲット分子を同定する。④アルブミンとターゲット分子である様々な輸送担体との相互作用を電気生理学的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
基礎学問から応用学問まで薬学領域において幅広く受け入れられている概念”free drug theory (FDT)”に従わない、アルブミン介在取り込み促進機構解明を詳細に解析するための最適な実験系の構築を昨年度に引き続き行った。アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて、アルブミン結合率の高い薬物を輸送する有機アニオン輸送担体(OATP,OAT)の発現系の拡充を行った。アルブミン促進効果を示す、これらの輸送担体発現系は高い輸送活性を示し、アルブミン存在下でも詳細な速度論的な解析が可能なものであった。有機アニオン輸送担体の分子輸送機構の解明、エネルギー共役系の解明にも応用できる有用な実験系を用いて、輸送担体の一つが起電性であることが予備的に示され、駆動力の解明の一助となることが明らかにされた。更に、これまでアルブミン促進機構が報告されている脳毛細血管や腎毛細血管おける、アルブミン促進機構の詳細なメカニズムとその生理的意義の解明を進めた。 一方、並行して進めている蛍光物質利用した蛍光相関分光分析法(Fluorescence Correlation Spectroscopy:FCS)によりアルブミン介在肝取り込み促進を詳細に解析出来る実験系の構築を行っている。今年度明らかにした知見として、蛍光強度の自己相関関数の測定には、蛍光物質の励起状態安定性が必須であること、アルブミン促進を示す蛍光物質はFCSには適切で無いことである。今後、FCS解析に適切な蛍光物質の検討を現在行っている。一つの候補として、Alexa480-チオシアン酸などのタンパク質ラベル化蛍光物質が適切であることが分かった。実際、その蛍光を用いた実験系において相互作用を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、前年度確立したにアフリカツメガエル卵母細胞発現系におけるアルブミン促進取り込み機構および詳細な解析を遂行できる、即ち、アルブミン存在下でも詳細な速度論的な解析が可能な実験系の構築を様々な輸送担体において行い、促進効果を示す事ができた。更に、熱力学的な手法などの物理化学的測定法の試験等を行った。新たに、酸性条件下で機能する輸送担体もアルブミン存在化で促進機構を示し、アルブミンの構造変化した酸性条件下でもこの促進機構は機能していることが明らかになった。がん細胞の微小環境におけるpHは酸性であり、アルブミン促進機構を利用したがん細胞へのターゲッティングに繋がる進展が期待できる。更に、様々な臓器、脳毛細血管や腎毛細血管において示唆されているが、脳毛細血管や腎尿細管でも機能しているのではということを実証することの研究をスタートし、アルブミン促進輸送機構の生理的意義の解明の新展開が期待される結果となった。これらの理由より、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまで明らかにされてきたアルブミン促進機構を測定する系を用い、物理化学的手法により、次に示す3つの項目を順次明らかする。即ち、①電気生理学的手法を用いて、アルブミンと細胞表面との相互作用による解離した薬物の輸送を高時間分解能で測定し、促進モデルの精緻化を行う。②アルブミンと細胞表面との相互作用により引き起こされる解離促進を熱力学的手法(等温滴定型熱量測定法)により測定し、アルブミンの構造変化の観点から、アルブミンからの薬物-解離促進のメカニズムを解明する。③アルブミンと細胞表面との相互作用による解離促進の可視化を進める。様々な輸送担体の発現系を用いてターゲット分子を同定する。また、これまで得られたデータの一貫性を検証し、発表へと繋げる。
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