研究課題/領域番号 |
21K06524
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
|
研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
河野 裕允 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (60732823)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 腫瘍内マクロファージ / 極性転換 / 腫瘍内血管 / リポソーム / ジスルフィラム / マクロファージ / がん治療 / EPR効果 / 腫瘍血管 / 腫瘍内環境 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍内の血管は、しばしば血流が途絶えており、分布も不均一である。また、腫瘍内は組織内圧が上昇しているため、微粒子性薬物キャリアであるリポソームが腫瘍組織へ移行しにくい場合がある。 そこで本研究では、腫瘍内環境を改善することでリポソームの腫瘍組織移行性を向上させることを目的として、血管新生やがん細胞の増殖を促進する腫瘍内マクロファージの極性を転換した際の、腫瘍内血管、腫瘍内圧およびリポソームの腫瘍組織移行性の変化を評価する。また、マクロファージの量や極性の変化率から、リポソームの腫瘍組織移行性の改善の程度を予測できる診断法の構築も目指す。本成果は、リポソームの治療効果向上と適応拡大に繋がる。
|
研究実績の概要 |
令和3年度は、腫瘍内マクロファージの極性をM2型からM1型へ転換する作用を有するジスルフィラムを効率的に腫瘍組織へ送達するため、マクロファージを基盤としたがん指向型DDSの開発を行った。令和4年度はまず、ジスルフィラムによる血管機能の改善が認められたCT26固形腫瘍に対するPEGリポソームの移行性について評価した。その結果、ジスルフィラム処置によりCT26固形腫瘍へのリポソーム移行量が顕著に増大することが明らかとなった。続いて、血管透過性が低いことが知られているB16/BL6固形腫瘍に対するジスルフィラム処置による血管透過性の変化について評価した。B16/BL6担癌マウスに対してジスルフィラム搭載マクロファージを静脈内投与した後、腫瘍内血管の量的・質的変化を評価した結果、血管内皮細胞数の増大および周皮細胞数の減少が確認され、透過性の高い血管が再構築されている可能性が示された。そこで、ジスルフィラム処置した担癌マウスに対してPEGリポソームを静脈内投与した結果、未処置の担癌マウスと比較してリポソームの腫瘍組織移行量が有意に多いことが明らかとなった。 次に、各担癌マウスにおけるドキソルビシン内封PEGリポソームの抗腫瘍効果を評価した結果、いずれの担癌マウスにおいても、ジスルフィラム搭載マクロファージを前処置することで抗腫瘍効果が顕著に増大することが示された。この時、CT26固形腫瘍については周皮細胞数、B16/BL6固形腫瘍については血管内皮細胞数が抗腫瘍効果の程度と相関している可能性が示された。 以上より、ジスルフィラムによる腫瘍内マクロファージの極性転換に基づく腫瘍内環境の改善により抗がん剤内封リポソーム製剤の抗腫瘍効果を向上させることができることを明らかにした。また、腫瘍内の血管内皮細胞数や周皮細胞数が治療効果の程度を予測し得るマーカーとなる可能性を示した。
|